東京都でも先天性風疹症候群の報告 全国で2例目
2019年第17週(4月22~28日)に東京都で、妊婦が風疹に感染することで胎児も感染して先天異常を起こす「先天性風疹症候群」の発生報告が1件あったことが明らかになった。都内では、13年の風疹大流行時に14年までに16件の報告があったが、15年以降は発生が途絶えていた。昨年夏に首都圏を中心に広がった風疹の大流行下で確認された先天性風疹症候群は、全国で2例目となった。
東京都健康安全研究センターは5月8日、先天性風疹症候群を取り上げた「感染症 ひとくち情報」を発表。その中で19年第17週に1件の先天性風疹症候群が発生したことを明らかにした。
同センターは対策にも言及。妊娠中に風疹に感染しないようにすることが第一であることから、ワクチン接種が重要と指摘している。妊娠中はワクチン接種ができないため、妊娠前にワクチン接種をして抗体を獲得すること、妊娠のパートナーや職場の同僚、さらには同居の人もワクチン接種をして風疹感染を防ぐことが必要だと強調している。その上で、(1)妊娠を予定または希望している女性(2)妊婦の同居者(3)(1)の同居者(4)30歳代から50歳代の男性――は特に、抗体検査やワクチン接種を検討するよう呼び掛けている。
風疹患者、今年1331人に
国立感染症研究所がまとめている「IDWR速報データ 2019年第16週」によると、今年に入ってからの風疹患者の報告数は累計で1331人となった。
人口100万人当たり風疹報告数で見ると、全国では10.5人となっている。都道府県別では、東京都が31.3人で最も多く、佐賀県が21.6人、千葉県が20.4人、神奈川県が18.2人、福井県が16.5人、福岡県が14.9人、埼玉県が12.8人、大阪府が12.6人、山口県が11.4人と続いている。
(日経メディカル 三和護)
[日経メディカル Online 2019年5月9日掲載]