JDI、金融支援800億円受け入れ発表 台中連合と合意
経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)は12日、台湾の電子部品メーカーなど3社で構成する台中連合から800億円の金融支援を受けると発表した。台中連合が議決権の49.8%を握る筆頭株主になる。日本の官民ファンド、INCJ(旧産業革新機構)は筆頭株主ではなくなり、日本の電機大手の事業を統合して誕生した「日の丸液晶連合」は外資の傘下で再建を急ぐことになる。
JDIはスマートフォン向けの液晶パネルで世界大手。経済産業省が主導し、2012年に日立製作所や東芝、ソニーの事業を統合して発足した。
当時の産業革新機構が2000億円を出資し、日本の液晶産業の復活を目指した。米アップル向けで売上高の半分を稼ぐが、過剰投資などがあだとなり、2019年3月期は5年連続の連結最終赤字になった。資金繰りが悪化していたため、金融支援を求めて台中連合と交渉してきた。
JDIは12日、取締役会を開き、台湾電子部品の宸鴻光電科技(TPK)や台湾金融の富邦グループ、中国ファンドの嘉実基金管理グループからの支援受け入れを決めた。台中連合は普通株で420億円を出資し、JDIの議決権の49.8%を握る見通し。さらに380億円の新株予約権付社債(転換社債=CB)も引き受け、合計で800億円を拠出する。台中連合の出資比率は最大で65.4%に上がる可能性がある。
台中3社はJDIへの支援について、4月下旬から6月上旬にかけて順次、機関決定する予定だ。実際に台中連合からの資金が入るまで時間がかかる。それまでは現在の筆頭株主の官民ファンド、INCJがJDIに融資し、資金繰りを支援する。
INCJはJDI向け債権の一部(750億円)も議決権のない優先株に切り替えるなどして、支援を継続する。台中連合が出資するため、INCJの議決権比率は25.3%から12.7%に低下。台中勢の出資(420億円)と合わせたJDIの資本増強額は1170億円になる。
金融支援の枠組みが決まったことで、JDIは有機ELパネルや車載用液晶パネルを強化する。月崎義幸社長は12日の記者会見で「国内拠点の統廃合を視野に入れている」とリストラを検討していることを明らかにした。
JDIの再建を巡っては今後も曲折がありそうだ。米中の貿易摩擦が長引くなか、対米外国投資委員会(CFIUS)などが待ったをかける懸念もある。LIXILグループはCFIUSの反対でイタリア子会社の中国企業への売却を断念。東芝は11日、米液化天然ガス(LNG)事業を売却する予定だった中国民間ガス大手から、契約解除を求められたと発表した。米中当局の審査の遅れなどが影響しているという。
関連企業・業界