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若返りクラゲ研究 不死の夢、脳のデジタル移植も

ポスト平成の未来学

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「不老不死」。歴史上、中国・秦の始皇帝が追い求め、多くの独裁者にとっての永遠の願いだった。今も世界中の研究者が不老不死の「源」を探し続けている。不老不死のメカニズムを解明しようとしているクラゲ研究者がいると聞いて、私(24)は和歌山県白浜町を訪ねた。

元京都大准教授の久保田信さん(65)は7月16日に、白浜町内に「ベニクラゲ再生生物学体験研究所」を開設したばかり。水槽にはふわふわ動く、ピンク色の小さなクラゲ。私がかわいいなぁと見入っていると「これが若返るベニクラゲです」と久保田さん。わずか数ミリ、最大でも1センチほどの小さな体にどんな可能性が秘められているのか。

生まれ変わるベニクラゲ

クラゲは通常、植物のような形状のポリプから水中を浮遊する形に成長し、死ぬと溶ける。しかし、ベニクラゲは命の危機に陥ると団子状になり、細胞が変化。新たにポリプを伸ばし、若い体に生まれ変わる。「チョウがイモムシに若返るようなもの」(久保田さん)

ベニクラゲを針で突き刺しダメージを与えると、数日でポリプに若返る。その後、順調なら約2カ月で元のクラゲの姿に戻る。久保田さんはこうした若返りに1個体で14回成功し、海外からも注目された。海水の塩分濃度の変化による若返りを偶然成功させたこともあるという。

ベニクラゲがなぜ若返るのか、肝心のメカニズムはまだ解明されていない。ヤワラクラゲやミズクラゲでも若返りに成功したケースがあり「ほかにもベニクラゲよりも若返るクラゲがいるかもしれない」(久保田さん)。

久保田さんは1992年から白浜町にある京大の実験所で海洋生物の研究を続けてきた。米紙ニューヨーク・タイムズに載った記事をきっかけにイタリア人監督がドキュメンタリー作品を製作。作品は2016年のベネチア国際映画祭でも上映された。

18年3月に京大を定年退職したが、研究所を立ち上げてライフワークとしてクラゲ研究に打ち込む。「クラゲも人間も遺伝子構造はあまり変わらない。遺伝子分析などが進めば、人類の夢である不老不死のメカニズムのヒントが見つかるかもしれない」

その遺伝子分析を担うのがかずさDNA研究所(千葉県木更津市)主任研究員の長谷川嘉則さん(47)。16年に発表した研究結果ではベニクラゲの遺伝子の約4分の1が未知の物と判明した。長谷川さんは「若返りの秘密が隠されたオリジナル遺伝子が存在する可能性がある」と話す。

現在、ベニクラゲなど不老不死生物に人間の寿命延長のカギがあるとみて国際的に激しい研究競争が繰り広げられている。IT(情報技術)企業のグーグルも老化の原因を突き止めるためカリコという会社を設立し、ハダカデバネズミなどを研究している。

ハダカデバネズミはアフリカに生息し、寿命は約30年と他のマウスやラットと比べて非常に長い。がんになりにくい特性もあり、人間のがん予防や老化防止に役立つのではないかと期待されている。国内でも熊本大がハダカデバネズミの皮膚の細胞からiPS細胞を作製、がん化しにくい仕組みの一端を解明した。

脳のデジタル移植も

その一方で、人間を寿命のある肉体そのものから解放する動きも活発化している。脳のデータを丸ごとデジタル空間に移植することができれば、人間の意識はデジタル空間で生き続け「永遠の命」が実現するという考えで、トランスヒューマニズム(超人間主義)といわれる。

実際に米国やロシアでは大富豪が資金を出し、スタートアップ企業が人間の意識をロボットにインストールしたり、脳を防腐処理して永久保存したりする研究に取り組む。ただ、脳のデジタル化は「デジタル不死」を望んで脳の早期保存を求める人々に自殺を促しかねないとの論議も呼んでいる。

私は以前、他人の体に自分の脳を移植して生き続ける一族を描いた映画を見た夜、悪夢にうなされた。そこまでして生きる意味はあるのか、不老不死は憧れではなく畏怖の対象ではないかと思った。私が100歳になるまであと76年もある。「もっと生きたい」と願う人間の欲望は際限ない。その間に不老不死の薬やデジタル不死のシステムが誕生しているかもしれないが、実際に使うかどうかは激しい議論が行われるだろう。

現実味増す人生100年時代

1920年(大正9年)に雑誌「日本及日本人」が増刊号で特集した「百年後の日本」。各界の識者が「2020年に日本がどんな国になっているのか」を描いている。「女子の大臣、大学学長」「飛行機600人乗り」などは当たり、「地球と火星との交通」「文字はローマ字になる」などは外れた。その中で医師の敷津林傑氏は100年後の平均寿命について「80~90歳まで生きることができるようになる」と予想した。

厚生労働省の資料によると、21~25年当時の平均寿命は女性43.20歳、男性42.06歳。50歳まで生きられない時代に、敷津氏は100年後の平均寿命が倍になると大胆に予測した。当時は夢物語だったかもしれないが、2017年の平均寿命は女性87.26歳、男性81.09歳で、男性は初めて81歳を突破した。敷津氏の100年後予想はほぼ的中したといえる。

平均寿命は年々、過去最高を更新している。平均寿命は死亡率が今後も変わらないと仮定し、その年に生まれた0歳児があと何年生きられるかを表す。国立社会保障・人口問題研究所は、65年には女性が91.35歳、男性が84.95歳まで延びると推計している。

平均寿命の延びとともに、100歳以上の人口も増え続けている。17年9月時点で全国に6万7824人。100歳以上は厚労省の調査が始まった1963年はわずか153人だったが、98年に1万人、2003年に2万人、07年に3万人、09年に4万人、12年に5万人、15年に6万人を突破した。日本の総人口が減り続ける一方で、100歳以上は今後も増え続ける。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、100歳以上は25年に13万3千人、35年に25万6千人、50年に53万2千人、65年に54万7千人になるとしている。

ただ、平均寿命や100歳以上の予想は現在のテクノロジーの水準などを基に推計している。医学や創薬の進展があれば、推計は変わってくる。100年前の敷津氏の予想が当たったのと同じだ。例えば、17年生まれの人が将来にがん、心臓病、脳卒中のいずれかで死亡する確率は50%前後。しかし、これらの病気で亡くなる人がいなくなると仮定すると、平均寿命は6歳前後延びると推計されている。

寿命脱却速度

米未来学者のレイ・カーツワイル氏は「寿命脱却速度」という概念を唱える。人工知能(AI)の急速な進化を健康や医療に応用すれば、あと10年程度で老化の速度を超える速度で寿命がかなり延びる可能性があるという。不老不死はまだ夢物語だが、平均寿命が延び続ければ「人生100年時代」は将来、現実のものとなる。科学技術は革命的に進化するが、社会組織や制度の変革は時間がかかる。世界の先端を行く長命社会日本でどう生きていくのか、どう社会保障制度を維持していくのかなどの課題は一人ひとりに突きつけられている。(鬼頭めぐみ)

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