米産大豆、在庫が過去最高に 中国報復関税で価格下押し懸念
【シカゴ=野毛洋子】米農務省(USDA)が29日公表した6月1日時点の大豆の在庫量は前年比26%増の約12億ブッシェルと、6月として過去最高を記録した。米国の大豆農家は中国向け輸出の増加を追い風に増産を続けてきた。7月6日に米国が中国製品への追加関税を発動すれば、中国側の報復関税により生産量の約3分の1を占める中国向け輸出が打撃を受ける。来年以降の在庫が一段と積み上がり価格を下押しする可能性もある。
USDAが29日発表した2018年の大豆作付面積は約8960万エーカーと過去最高だった17年を1%下回ったものの、過去2番目の高水準だった。また、農家の大豆作付け意欲の強さを反映し、トウモロコシの作付面積を1983年以来、35年ぶりに上回った。
米中貿易摩擦の激化にもかかわらず農家の生産調整が少なかったのは時期的な理由がある。米農家は毎年1、2月には作付け作物を決め、種子や化学肥料を買い付ける。このため18年3月に中国が大豆など報復関税対象リストを発表した時点では作付け準備が終わっていたことになる。
今年の大豆生産量は天候が順調であれば高水準になる見通しだ。シカゴの穀物調査会社アグリソースのアナリスト、ベン・バックナー氏は「米中貿易問題が解決されなければ、米国の輸出競争力が落ち長期的な価格下落は避けれない」と話している。