カーシェアで世界連合 中国の滴滴とトヨタなど31社
EVを共同開発
【北京=多部田俊輔】中国ライドシェア最大手の滴滴出行は24日、トヨタ自動車など世界自動車大手や部品大手など31社が参加するカーシェアリングの企業連合を立ち上げると発表した。低コストの専用電気自動車(EV)を共同開発し、消費者が必要な時に安価に利用できる仕組みをつくる。新車販売が柱の自動車産業の構造に影響を与える可能性がある。
企業連合の名称は「洪流連盟(Dアライアンス)」。海外の自動車大手ではトヨタのほか、独フォルクスワーゲン(VW)、仏ルノー・日産自動車・三菱自動車連合、韓国・起亜自動車の合弁会社が参加。部品分野では独ボッシュと独コンチネンタルも参加する。滴滴は2月に12社と提携してEVのカーシェア事業に参入すると発表しており、トヨタやVWを巻き込んで具体的かつ大規模になった形だ。
中国勢ではEV最大手の比亜迪(BYD)、2位の北京汽車集団など大手の大半が参加。車載電池の寧徳時代新能源科技(CATL)、デジタル地図の北京四維図新科技(ナブインフォ)、国有通信の中国聯合網絡通信集団(チャイナユニコム)や充電システム大手も加わった。
Dアライアンスの参加企業はEVを中心に協力して消費者向けにカーシェアのサービスを手掛ける。滴滴は4億5千万人の利用者の走行データなどを人工知能(AI)で解析し、カーシェアの利用者が求めるニーズを詳細に把握。製造コストの半減をめざした専用EVを共同開発する。
滴滴はライドシェアで展開している仕組みを参画企業と共有。専用車などの補修や保険なども含めて消費者が必要とする時に手軽に利用できる新しい自動車利用サービスを提供する。Dアライアンスで20年に100万台のEVを利用し、10年後には1000万台まで増やす考え。
程維最高経営責任者(CEO)は北京で開いた記者会見で「欧米では一家が自動車を1~2台保有するが、保有の少ない中国ではすでに持続可能な発展に悪影響が出ている。インドなどでも同様の問題が起きており、中国の取り組みは世界にとっても意義がある」と強調した。
Dアライアンスは当面、中国市場を中心とするが、将来的には滴滴が出資している地域など海外も視野に入れるとみられる。滴滴は今回の取り組みをテコに、10年後には全世界の利用者数を現在の4倍以上の20億人まで増やす考えだ。
自動車は購入して利用することが普通で、中国では見栄えを求められる傾向にあった。滴滴の試みによって、自動車は「所有」から「利用」へ大きく変化するのか。自動車業界のアナリストは「実現は未知数。まずは共同開発車に注目したい」と分析する。
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