「ない」と説明の陸自イラク派遣日報発見 防衛省
小野寺五典防衛相は2日、2017年2月の国会で存在しないと説明していた陸上自衛隊のイラク派遣の日報の存在を確認したと明らかにした。発見したのは04~06年の派遣期間中に作成されたのべ376日分、約1万4000ページ。小野寺氏は防衛省内で記者団に「国会での質問に適切に対応できなかったことは申し訳なかった」と陳謝した。
防衛省によると見つかった日報は陸上幕僚監部衛生部に紙で、陸自研究本部に電子データで残っていた。防衛省は昨年の南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報を巡る問題を受け、全国の部隊が保有する文書を精査。陸幕総務課が今年1月末までに把握し2月27日に統合幕僚監部に報告した。
防衛省は隠蔽する意図はなかったと説明している。4月半ばにも資料を要求した国会議員らに開示する方針だ。
日報は昨年2月16日、当時の民進党議員が資料の提出を求め、防衛省は「不存在」と回答した。同2月20日には国会でも当時の稲田朋美防衛相が「見つけることはできなかった」と述べていた。
野党は文書発見の経緯を防衛省にただす考え。立憲民主党の辻元清美国会対策委員長は2日、国会内で記者団に「なぜ今出てきたのか不思議だ。故意に隠していたとしたら大きな問題だ」と指摘した。
防衛省は2日、12年に作成された日米の防衛協力に関する文書についてこれまで開示してきた文書と同じ表題の文書が新たに2種類見つかったとも発表した。
表題は「日米の『動的防衛協力』について」。同文書を巡っては、3月30日の衆院外務委員会で、共産党の穀田恵二国会対策委員長が独自に文書を入手したとして開示文書から削除された部分があると指摘。「改ざんの疑いがある」と質問していた。防衛省は質問を受け調査。書き換えや改ざんについては否定し「文書の探索が不十分だった」と釈明した。