震災遺児ケアの児童館「浜風の家」、閉館の別れ惜しむ 兵庫・芦屋
兵庫県芦屋市にある阪神大震災の遺児のケアを目的に1999年に設立され、昨年12月に閉館した児童館「浜風の家」で14日、関係者やかつての利用者ら約200人が集まり、施設への思いを語り合う行事が開かれた。設立を呼び掛けた作家の故藤本義一さんの妻、統紀子さん(82)は「始めがあれば終わりがある。寂しい思い」と涙ながらに話した。
浜風の家がある場所は、兵庫県から無償で土地が提供されてきたが、今年3月で期限切れとなるため閉館。行事に参加した県幹部は、市民らの声を踏まえ、記念碑の設置や、更地にはせず現在の建物を残し譲渡先を公募することを検討していると明らかにした。浜風の家を運営する法人は17日に会合を開き、対応を議論する。
この日は地元の子供たちと藤本さんの次女でアーティスト活動をする芽子さん(54)らが制作した絵が披露されたほか、窓ガラスやバルコニーなどに「楽しかった」「宝物」などとメッセージを書き込んで別れを惜しんだ。
小学校の時からよく遊びに来ていたという芦屋市の中学3年、森下俊哉さん(14)は「走り回ったりゲームをしたり、楽しい思い出がたくさん詰まっている。なくなるのはとても寂しい」と話した。〔共同〕