課税取り消し訴訟、IBM側が二審も勝訴 連結納税巡り
東京国税局から約3995億円の申告漏れを指摘された日本IBMの持ち株会社が、課税処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(山田俊雄裁判長)は25日、「不当に納税額を減らしたとは言えない」として国側の控訴を棄却した。約1200億円の課税を取り消し、IBM側の勝訴とした一審・東京地裁の判断を維持した。
問題とされたのは、子会社株の売買に伴う税務上の赤字を連結納税制度を使ってグループ内で相殺した取引。こうした取引は2010年度の税制改正で禁止され、現在は認められていない。
判決によると、日本IBMの持ち株会社「アイ・ビー・エム・エイ・ピー・ホールディングス」(東京・中央)は米IBMから購入した日本IBM株(非上場株)の一部を02~05年に日本IBMに売却し、計約3995億円の売却損を計上。08年から導入した連結納税制度を利用し、日本IBMの黒字と相殺した。国側は「税逃れ目的の取引で納税額を圧縮した」と主張し、IBM側は「法的に問題ない」と反論していた。
山田裁判長は判決理由で「株の購入や売却などが税額圧縮のために一体的に行われたとは言えない」と指摘。そのうえで株を売却した取引について「経済的合理性がないとは言えない」と判断。3995億円の損失が生じたのは「各取引に法人税法の規定を適用した結果で、見せかけの損失には当たらない」と結論付けた。
一審・東京地裁は「持ち株会社は一定の機能があった」としたうえで、株の売買条件について「不合理、不自然とは言えない」と指摘。こうした手法を明確に禁じた当時の法規定も見当たらないとして「制度を乱用して税逃れを図ったとまでは言えない」と判断し、国側が控訴していた。
東京国税局の話 国側の主張が認められず大変遺憾。上告するかどうか関係機関と判決文を検討している。
IBM側の話 当社の主張が認められた。日本をはじめ活動するすべての国で引き続き納税義務を果たしていく。