辺野古移設「県全体として負担軽減」 福岡高裁支部
沖縄県の米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古沿岸部への移設を巡る訴訟で、国側勝訴の判決を言い渡した福岡高裁那覇支部の多見谷寿郎裁判長は移設について「県全体として基地負担が軽減し、辺野古沿岸部の埋め立て承認に法令違反はない」と述べた。
翁長雄志知事が前知事の埋め立て承認を取り消したことの是非が訴訟の争点だった。
多見谷裁判長は判決理由で「普天間基地の被害を除去するには、埋め立てを行うしかなく、県全体としては基地負担が軽減されることからすると、埋め立てに伴う不利益や沖縄の民意を考慮しても法令違反にはならない」とした。
さらに国防や外交分野について、知事が承認処分で一定の裁量権を持っているとする一方、「知事が埋め立て承認を拒否した場合、本来責任を負うべき立場の国の判断より自治体の判断が優越しかねない。国と地方の役割分担に沿わず、不都合な事態である」と指摘。「国の説明が具体的な点で不合理が認められない場合、県は判断を尊重すべきだ」と判示した。
県は「自然環境への悪影響が大きく、基地の過重負担の固定化にもつながる」などと主張していたが、判決は「前知事の承認処分に瑕疵(かし)はなく、承認取り消しは違法」と判断。さらに承認取り消しの是正指示に知事が従わないことも違法と結論付けた。