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「最後の城」若人見守る 維新期に築かれた園部城(時の回廊)

京都府南丹市

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闇夜に突如、城郭が浮かび上がった――。白い壁に銀色の甍(いらか)が並ぶ城門と櫓(やぐら)が淡い光にぼんやりと照らし出された。京都市の北西、丹波地方の山あいにある園部城跡(京都府南丹市)だ。府立園部高校の敷地内にあり、日没から午後9時まで毎日ライトアップされている。

現在、国内に残る城郭は、戦国時代や江戸時代初期に築かれたものか、その時期に築かれ戦後に再建されたものが大半を占めるが、園部城は、幕末から明治維新期に築かれた稀有(けう)な例だ。着工は1868年(慶応4、明治元年)、完成したのはその翌年。城門や巽(たつみ)櫓、3層櫓、太鼓櫓などが作られ「城郭史上最後の城」と呼ばれる。

3万石の小領主

藩主は代々、小出氏で、初代の吉親(よしちか)が1619年に但馬国(現兵庫県)出石(いずし)から園部に移った。江戸時代、大名が領内に城郭を持つには大きな所領や格式が必要で、約3万石の小領主、小出氏は「無城主格」だった。天守閣や大きな櫓は作られないまま幕末に至り、藩主の住む屋敷は城ではなく、「陣屋」だった。

しかし幕末に政治の中心が江戸から京都に移ると、この小藩を取り巻く環境は一変。京都から地理的に近く、天皇が万一、戦乱に巻き込まれた場合の有力な避難先の候補として浮上したのだ。

京都警護の任に当たっていた当時の藩主・英尚(ふさなお)は陣屋を、より防御性の高い「城」に改築することを江戸幕府に願い出た。

1867年にいったんは内諾を得たというが、直後に15代将軍・徳川慶喜(よしのぶ)が天皇に政権を返上する大政奉還をし、幕府そのものが消滅、改築の約束はうやむやになった。だが英尚は明治新政府にも同様の嘆願をして認められ、「最後の城」が誕生した。

改築の経緯に詳しい園部高の永井正人校長は「天皇を迎えるのに陣屋のように貧相であってはいけないと考えたのだろう。防御というよりも格式を重んじたのではないか」とみる。

高校の敷地に城門

城の完成と前後して天皇は東京に移り、城の戦略的価値はなくなってしまった。そして完成からわずか2年後の1871年、政府が実施した廃藩置県で廃城となり、ほとんどが取り壊された。ただ太鼓櫓は同じ南丹市内にある安楽寺に移設。城門と巽櫓、藩士が詰めた番所は今も高校の敷地に残っている。

珍しい経緯を持つ園部城跡は歴史愛好家の間で隠れた観光スポットになっている。週末には団体客がバスで見学に訪れる。時代劇の撮影にも頻繁に利用される。

城は、京都府が住民の要望で景観整備の実施箇所を決める「府民公募型整備事業」に採用され、今年1月から570万円をかけて城門や門に続く畳階段などを修築。さらに照明8基が設置され、ライトアップが実現した。

同校は今後、校内に残る巽櫓内部を改修して公開し、資料館とする計画を練っている。「城は学校にも園部の街にとっても貴重な財産。さらに有効に活用していきたい」と永井校長は話している。

文 大阪社会部 塙和也

写真 浦田晃之介

<よりみち>城下町の面影残す旧園部町 園部町は2006年に周辺自治体と合併して南丹市となったが、旧町内には城下町の面影が強く残っている。

特に園部城跡の北側に位置する街の中心部には、江戸時代からの町家や商家が点在する古い街並みが残り、ウオーキングを兼ねた歴史散策を楽しむ人が見られる。

園部は初代藩主の小出吉親が立藩してから街づくりが本格化。京都から山陰に向かう要衝だったうえ、参勤交代で江戸に向かう大名行列などが滞在する宿場町としても栄えた。大名や同行の武士が使った宿泊施設「本陣」跡や老舗の旅館もある。

城跡に近い園部公園は桜や紅葉の名所だ。周辺には、南丹市立文化博物館や、天守を模した建物が特徴的な国際交流会館といった文化施設も立つ。

文化博物館では、園部藩が江戸に参勤交代に出府した様子を描いた「園部藩参勤交代行列図」や、藩の地図である「丹波国園部絵図」を見られる。また丹波地方最大級とも言われる垣内(かいち)古墳の模型や、出土した銅鏡、石製品なども展示されており、古代から近代までの園部の歴史を知ることができる。

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