中国、北朝鮮系企業を閉鎖 国連制裁履行アピール
【北京=高橋哲史】中国商務省と国家工商総局は28日、北朝鮮の6回目の核実験に対する国連安全保障理事会の制裁決議に基づき、北朝鮮の個人や団体が中国国内に設立した合弁企業などを閉鎖するよう命じる公告を発表した。ティラーソン米国務長官の訪中を控え、核・ミサイル開発をやめない北朝鮮に対する制裁の着実な履行をアピールする狙いとみられる。
公告によると、対象企業の閉鎖は国連安保理が制裁決議を採択した11日(中国時間12日)から120日以内に実施しなければならない。中国企業が北朝鮮の個人や団体と国外で設立した合弁企業も含むとしており、関係当局に責任をもって実施するよう求めている。
中国国内で活動する北朝鮮系企業の実態はよくわかっていないが、多くは貿易やレストラン経営などの事業を手がけているとみられる。北朝鮮にとっては貴重な外貨の調達源となっており、中国当局が本気で閉鎖に追い込めば「制裁効果は小さくない」(外交筋)との見方が出ている。
北朝鮮が3日に核実験を実施して以降、中国は相次いで制裁措置を打ち出している。23日には国連決議に基づき、商務省が石油製品の輸出制限や北朝鮮の主要産品である繊維製品の輸入禁止を発表したばかりだ。
金融面では、事実上の独自制裁に踏み切った。中国人民銀行(中央銀行)の指示に基づき、中国の主要銀行はすでに北朝鮮籍の個人や企業に対するほとんどのサービスを停止している。
ティラーソン米国務長官は28日に米国を出発し、10月1日までの日程で中国を訪問する。11月に予定するトランプ米大統領の訪中に向けた地ならしをするとともに、北朝鮮にさらなる圧力をかけるよう中国側に働きかけるのが目的だ。
中国共産党は10月18日から5年に1度の党大会を開く。指導部のメンバーが大幅に入れ替わる重要な政治イベントを控え、一段と強力な制裁措置を実施して北朝鮮の混乱を招く事態は避けたいと考えている。
ティラーソン氏が訪中する直前のタイミングで今回の制裁措置を発表した背景には、米国との協調姿勢を示して党大会前に米中関係にさざ波が立たないようにする狙いも透ける。