米大統領令また差し止め 聖域都市への補助金停止認めず
【ニューヨーク=平野麻理子】米西部カリフォルニア州の連邦地裁は25日、不法移民に寛容な措置を取る「聖域都市」と呼ばれる自治体への補助金を打ち切った大統領令を全米で一時差し止める仮処分を下した。イスラム圏からの入国を一部制限する大統領令が差し止められたのに続き、トランプ政権が力を入れる移民政策がまた司法当局の決定で行き詰まった。
問題となっている大統領令はトランプ氏が1月25日に署名したもので、聖域都市への補助金停止を司法省に指示する内容。この補助金打ち切りは違憲だとして、カリフォルニア州のサンフランシスコ市とサンタクララ郡が一時差し止めを求める訴訟を起こしていた。
サンフランシスコやニューヨーク、シカゴなどの聖域都市では、地元警察から在留資格の有無を聞かれることはなく、不法移民でも公共サービスを受けることができる。
連邦政府からの補助金はこれまで地元警察の犯罪対策強化などに充てられてきた。カリフォルニア州連邦地裁の担当判事は補助金の差し止めで聖域都市が「取り返しがつかない損害を被る可能性がある」と指摘し、大統領令の一時差し止めが妥当だと判断した。
移民によるテロ対策を看板政策に掲げるトランプ政権にとって、再度の痛手となった。