作家・夢野久作の映像見つかる 死去前年の姿写す
奇書として知られる長編小説「ドグラ・マグラ」を著した作家、夢野久作(1889~1936年)を写した白黒映像が見つかり、22日から出身地の福岡市で公開される。夢野が死去する前年に営まれた父、杉山茂丸氏の葬儀の際に撮影されたとみられる。公開に関わった関係者は「夢野の映像は珍しく、誠実な人柄がうかがえる」と話す。
公開される映像は6分49秒。羽織はかま姿で骨つぼを抱え、当時の博多駅構内を歩く姿などが写されている。
杉山氏は政財界の黒幕として知られ、夢野は後処理に奔走後、翌36年に急死した。杉山氏と親交のあった人物の子孫が自宅でフィルムを見つけ、今春、DVD化された映像を夢野の孫、杉山満丸さん(59)に贈った。
映像は福岡市博多区の「立石ガクブチ店」で28日まで開かれる「夢野久作の童話展」で公開される。「ドグラ・マグラ」で印象的な役割を果たす音のモデルとされる時計も展示する。修理され、音の響きが味わえる。入場無料。問い合わせは同店((電)092・281・4008)。〔共同〕