北海道コンサドーレ札幌から史上初めて、2選手が同時に日本代表に選ばれた。日本サッカー協会は6日、代表メンバーを発表し、DF進藤亮佑(23)は、国際親善試合キリンチャレンジ杯ベネズエラ戦(19日、吹田)メンバーとして初選出。 代表復帰となるFW鈴木武蔵(25)も、同試合に加え、W杯アジア2次予選のアウェーキルギス戦(14日)に臨む。今季はルヴァン杯で準優勝。ミハイロ・ペトロビッチ監督(62)の下、確実にステップを踏むクラブが、代表選手同時輩出という形で成長を示した。

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札幌のクラブ史が、またひとつ塗り替えられた。FW鈴木とともに、DF進藤が日の丸を背負う。自身初となるA代表の吉報は、全体練習後の筋力トレーニング中に届いた。自然と緩む頬。「ヘラヘラしない!」。自らにカツを入れ、「うれしい気持ちと驚きと、多少の不安がありながらまだ処理しきれてない感じ。間違いなく人生で1番うれしい、自分の中の大きな出来事」と、素直な思いを口にした。

チームの成長ぶりを物語っている。国内組が中心のキリンチャレンジ杯とはいえ、道産子で下部組織からの生え抜きA代表は、現在U-22代表にも選出されている菅大輝(21=小樽市出身)に続いて2人目。FW鈴木との2人同時選出は、クラブ創設24年目で初めてとなった。

ペトロビッチ監督が就任した昨年、レギュラーに定着し、クラブで初めてフィールド選手としてシーズンフル出場を果たした。昨年のリーグ4位、今年のルヴァン杯準優勝に貢献。攻撃的サッカーが信条の指揮官の下、豊富な運動量を生かして最終ラインから前線に上がり、今季はDF登録としてJ1最多の6得点をマークしている。「試合の中で見えるところが増えて余裕が生まれた。攻撃的な部分が成長した」。名将による意識改革で若手が伸び伸びと育っている。

地域密着型クラブとしての影響も大きい。札幌市生まれの進藤はU-18から15年にトップ昇格。「元々そんなにうまい方ではない。昔から僕を知っている人は『まさか進藤が代表に』という感じかと」。道内でプレーを続けても国内トップ級までたどり着ける可能性を示し、後輩たちに夢を与える形となった。

22年W杯カタール大会に向けて激しい代表争いが待っている。成長させてくれたペトロビッチ監督とは風呂場で一緒になり「裸で握手しました」。周囲からも祝福されたが「出場0試合と1試合で違いは大きい。ただ呼ばれるだけじゃなくて結果を出したい」。北海道から世界に飛び立つ。【西塚祐司】