安倍晋三元首相の国葬が27日、東京・日本武道館で営まれ、規制外の九段下交差点などでは「国葬反対」を訴える数多くのデモ活動が行われた。

近くの公園で決起集会を行った団体は、約400人で正午からデモ行進を開始した。警察車両を先導に、日本武道館に最接近できる九段下交差点へ。靖国通りの車道を歩く長蛇の列は500メートルを超え、「国葬反対」「戦争反対」などの大合唱。アニメ「アンパンマン」のテーマ曲などを大音量で流し、踊りながら体で反意を表現する人もいた。20代女性は「安倍総理はアベノミクスで格差を生み、アベノマスクで税金をムダ使い。国民みんなで弔意なんて示せません」と憤った。

世論は反対派が6割を超す調査もあるなど、賛成派を大幅に上回っている。賛否両論を象徴するかのように、両派のデモが目の前で対峙(たいじ)した構図も発生した。

警察官が間を仕切る中、反対派の声のボリュームが上がると、賛成派からは「帰れ、帰れ」コール。「国葬を守る我々がはね返し、ヒソヒソと反対派が帰っていった」と拡声器で叫ぶと、反対派からの罵声も最高潮に達した。

気持ちが高ぶる参加者同士がもみ合いとなり、警察官に後ろから押さえ付けられる人も。安倍氏のTシャツを着用し、水鉄砲で水をかけられるパフォーマンスを行うグループもいた。

葬儀開始10分前の午後1時50分には歩道でデモ行進する学生中心の集団が、警察官約100人と衝突した。歩道を埋め尽くす形で「今すぐ、やめろ」など抗議する一方、警察から「ただちに中止しなさい」と呼びかける押し問答は、葬儀終了の午後4時まで続いた。【鎌田直秀】