NHKは13日、都内の同局で大みそかの「第74回NHK紅白歌合戦」(午後7時20分)の出場歌手発表会見を行った。出場者一覧に、SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)所属タレントの名前は1組もなかった。旧ジャニーズタレントが出場しないのは第30回(79年)以来44年ぶりとなる。

旧ジャニーズ事務所創業者ジャニー喜多川氏(19年死去)の性加害問題を受け、NHK稲葉延雄会長は9月の定例会見で、所属タレントへの新規の出演依頼を当面行わないとし、紅白も同様だと述べていた。先月2日には同社が社名変更や今月被害者への補償を開始する旨を表明したが、稲葉会長は慎重な姿勢を示した。同18日の会見でも「方針に変わりはない」としていた。

テレビ局関係者によると、SMILE-UP.所属タレントの紅白出場をめぐっては、9月に同社が性加害問題を認めて以降、数組の出場も含めてさまざまな案が浮上していたという。SMILE-UP.は今月から被害者への補償をスタートすると表明している。

ジャニーズと紅白の歴史は古く、65年に初出場を果たした事務所初のグループ初代「ジャニーズ」を皮切りに、多くのアーティストがステージに立ってきた。80年代は田原俊彦や近藤真彦らソロで活躍するタレントが連続出場し、少年隊や光GENJIらグループアイドル、90年代はSMAPとTOKIOらも登場。近年は5~7組に増加し、昨年もKinKi Kids、関ジャニ∞、King&Prince、Snow Man、SixTONES、なにわ男子の6組が出場した。

NHKは13日の出場歌手発表会見で、制作にあたって「第74回NHK紅白歌合戦の出演者に対する人権尊重のガイドライン」を順守すると発表。出演者も同意しているという。

出場者に旧ジャニーズタレントの名前がなかったことについて、大塚信広制作統括は「旧ジャニーズ事務所のアーティストについては、今回の紅白の出場者選考においては、新規の出演依頼にあたるため、旧ジャニーズ事務所による被害者への補償や再発防止への取り組みが着実に実施されていることが確認されるまで、当面新規の出演依頼は行わないとするNHKの全体方針に沿って進めた結果」と説明した。

また「出場44組を発表するにあたり、今年の活躍、世論の支持、番組の企画・演出にふさわしい皆さんに出演していただける形になったと思う。これが今僕たちが、一緒に第74回の紅白を作っていく全てである、と思っております」と伝えた。

補償や再発防止への取り組みが確認された場合、旧ジャニーズタレントに出演依頼をする可能性について、「NHKの全体方針に沿って新規の出演依頼が問題ないと判断した際には、その時点で適切に判断していくことになる」と答えた。「ただ、交渉状況など個別の制作にはお答えできないので、状況を見てという形となると思う。私の判断ではなく、NHKと旧ジャニーズ事務所さんの判断結果によって、あらためてどういうふうに進めていくのか、ということになると思います」と述べた。