人気グループ「クレイジーキャッツ」のメンバーで、俳優としても活躍した犬塚弘(いぬづか・ひろし)さん(本名・弘=ひろむ)が、27日までに死去したことが分かった。94歳。12年に桜井センリさんが亡くなって以降は、犬塚さんが最後のメンバーで、グループ全員が亡くなった。

「ワンちゃん」の愛称で親しまれ、役者としても数多くのドラマや映画に出演した犬塚さんが逝った。犬塚さんは、ハナ肇さん(93年に死去)に、クレイジーキャッツの前身となる「キューバン・キャッツ」を1955年(昭30)に結成。その後、植木等さん(07年に死去)谷啓さん(10年に死去)らも加入し、テレビバラエティー「おとなの漫画」「シャボン玉ホリデー」や、61年発売の「スーダラ節」が大ヒットし、犬塚さんもベーシストで、おとぼけキャラが人気だった。

「東宝クレージーシリーズ」でも数多くの映画作品に出演した犬塚さんは、バンド活動後も、役者として活躍。65年に「素敵な今晩わ」で主演し、山田洋次監督の「男はつらいよ」シリーズにも出演。NHK連続テレビ小説「本日も晴天なり」「こころ」「おひさま」など数々のドラマにも出演した。20年には大林宣彦監督の遺作となった映画「海辺の映画館-キネマの玉手箱」にも出演していた。

◆犬塚弘(いぬづか・ひろし)本名弘(ひろむ) 1929年(昭4)3月23日生まれ、東京都出身。「クレイジーキャッツ」ではベース担当。愛称「ワンちゃん」。64年12月、ハナ肇さん主演映画「馬鹿が戦車でやって来る」での演技により、植木等さん、ハナさん、谷啓さんにつぐ「クレイジー第4の男」として評価され、翌65年7月公開の「素敵な今晩わ」で初の映画主演を務めた。

◆クレイジーキャッツ 1955年(昭30)に「キューバン・キャッツ」として結成。ハナ肇さんを中心に「ハナ肇とクレイジーキャッツ」と活動してからはテレビバラエティー「おとなの漫画」「シャボン玉ホリデー」などが大ヒット。音楽とコメディーを組み合わせたスタイルは、ザ・ドリフターズなど多くのバンドに影響を与えた。61年「スーダラ節」、62年映画「ニッポン無責任時代」の主題歌「無責任一代男」で人気を不動にした。「スーダラ節」以降、ハナ肇さん、犬塚さん、植木等さん、谷啓さん、安田伸さん、石橋エータローさん、桜井センリさんの7人で活動していた。