俳優石原良純(60)が5日朝、出演するテレビ朝日系「週刊ニュースリーダー」(土曜午前6時)に生出演し、父で、今月1日に89歳で死去した、元東京都知事で作家の石原慎太郎さんが亡くなる2週間前の様子を語った。

良純は「父の素顔はどこを切っても同じだった。家の中にいるときも同じだし、テレビのニュースを見たときの父親も同じだった。最後の3カ月、余命宣告された時も同じ。夜中に、それこそ介護呼ばないと起き上がれなかったから、起こしてもらってワープロで仕事をしていてて、そのスタイルはずっと変わらなかった。同年代の人がずいぶんと亡くなって、話す人が少ないんだけれども、その中で『お互いにいい人生だったな』、『面白い人生だったな』という話をしていて。いろんな人に支えられて、生きてきた人だと思う」と振り返った。その上で「最後、亡くなる2週間は、すごくつらかったと思う。普通、余命宣告されたら、そこでいろいろ思うじゃない。うちのおやじはすぐに立ち直って、医者に俺の何が分かると思い始める。自分と八十何年付き合ってきたし、おまえなんか俺のことが分かることはねえだろうと。そこは変わんない。ずっと」と振り返った。

続けて「いよいよ最後、自分の体が動かなくなったとき、生死感みたいな“無”だ。生命力の強さみたいな、自分が前へ前へ進んでいくことだけに執着して生き抜いてきた人だから、肉体が滅びた時に自分の精神もなくなってしまったら、その先はないと。だから最後の2週間は恐怖心みたいなのが芽生えて…。動けなくなったときの最後の2週間以外は、ずっと前を向いていた」と語った。

慎太郎さんは膵臓(すいぞう)がんを昨年10月に再発していた。一橋大在学中の1956年(昭31)に、小説「太陽の季節」で芥川賞を受賞し、以来ベストセラーを次々に発表。タカ派の論客としては歯に衣(きぬ)着せぬ慎太郎節で知られ、時に物議も醸したが、強烈な存在感を放ちながら時代を駆け抜け、弟の大スター、故裕次郎さんのもとに旅立った。