「恋のバカンス」や「恋のフーガ」などのヒット曲で知られる双子デュオ、ザ・ピーナッツの妹、伊藤ユミ(いとう・ゆみ)さん(本名・伊藤月子=いとう・つきこ)が5月18日に死去していたことが11日、分かった。75歳だった。

 ユミさんは、姉エミさんと小学校のころから名古屋市内の合唱団に参加し歌手を目指した。1959年にザ・ピーナッツとして「可愛い花」でデビュー。音楽家の故宮川泰氏に歌唱指導を受け、「恋のバカンス」「恋のフーガ」など大ヒット曲を連発。ユミさんがメロディー、エミさんがハーモニーの歌唱は一卵性双生児ならではの美しさで聴く者の心をとらえた。人気番組「シャボン玉ホリデー」の司会や、姉妹で妖精役で出演した映画「モスラ」でも人気を集めた。

 ヒット曲は「恋の-」以外に、「キサス・キサス」「ふりむかないで」「ウナ・セラ・ディ東京」など多数あり、さまざまなアーティストにカバーされている。当時あまりなかったアメリカ公演を行うなど、歌謡曲を世界に広めた功績は多大だった。75年にザ・ピーナッツの活動を終えてからは公の場に出ることはほとんどなかった。姉エミさんは、75年に沢田研二と結婚したが、87年に離婚。12年6月に亡くなっている。

 死因などは親族の意向で公表されていないが、病気療養中だった。葬儀・告別式、四十九日の法要も近親者のみですでに執り行われており、お別れの会などの予定もないという。

 ◆伊藤(いとう)ユミ 本名・伊藤月子。1941年(昭16)4月1日、名古屋市生まれ。高校1年で故渡辺晋氏にスカウトされ、双子の姉エミと結成したザ・ピーナッツで、59年「可愛い花」でデビュー。「ウナ・セラ・ディ東京」などヒット曲を連発。59年から16回連続でNHK紅白歌合戦に出場も、75年4月に引退。