横綱照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が、新横綱から2場所連続の優勝を決めた。1敗で追走する平幕の阿炎との直接対決を制して、初日から無傷の14連勝。14年の白鵬以来となる年間4回目(白鵬は5回)の優勝で、年6場所制が定着した1958年以降、新横綱場所からの連覇は62年初場所の大鵬以来59年ぶり2人目となった。

番付上で自身初の一人横綱となった場所で、綱の責任を果たした。先場所限りで史上最多45回の優勝を誇る白鵬(現間垣親方)が引退した直後の場所。9月の引退会見では「後を託せる」と“後継者”指名を受けたが、その期待に早速応えた。

場所を通じて盤石の相撲内容だった。2日目の大栄翔戦でヒヤリとする場面はあったものの、「1日一番やるしかない。やることは変わらない」と自らに言い聞かせた。昨年7月場所の幕内復帰から9場所目。相手も取り口を研究してくる中で「みんなまわし取らせないようにしてますから、取らなくても圧力をかけていく」。常に前傾姿勢を維持し、前に出ることを心がけた。

6度目の優勝で、千秋楽を待たずして優勝を決めるのは自身初となった。新横綱から3場所連続で賜杯を抱けば、大鵬もなしえなかった快挙になる。両膝のケガや内臓疾患などの病気に苦しみ、大関から序二段まで落ちながら劇的な復活劇を果たした不屈の精神を胸に、1年納めの場所で栄冠をつかんだ。