日本ハムからドラフト5位で指名された東芝・新垣勇人投手(27=横浜商大)が15日、東京都内の東芝本社で契約金5000万円、年俸900万円(金額は推定)で仮契約を結んだ。先発候補の即戦力右腕は「どんな場面でもゼロで切り抜けて、試合の流れを持っていける選手になりたい」。特技の将棋で鍛えた勝負勘を生かし、名人級の投球術で開幕ローテ入りを狙う。

 野球以外に熱中しているものが、将棋だ。今も将棋番組を毎日録画し、棋譜を研究する熱の入れよう。数手先を読み、たった1手で不利な局面を覆すこともできる将棋は「野球に通じるところが、あると思う。(将棋盤の)左右を使って考えるところや(勝つために)いろいろな“手”が見えてくる」。盤上をストライクゾーンに見立て、打者を打ち取る配球を考える。

 球速は常時140キロ前後と驚くようなスピードはないが、多彩な変化球と低めへの制球力を武器に、社会人野球の名門で主戦を張った。大渕スカウトディレクターが「ベース上で勝負していくタイプ。大けがをしない」と太鼓判を押す制球力が“勝負手”を生かすというわけだ。

 今季リーグ最多50HPで最優秀中継ぎ投手となった日本ハム増井は、東芝の先輩。「増井さんにつなげたら最高ですね」。28日からはアジア選手権(台湾)に日本代表として参加する。社会人5年目。熟練の右腕が、満を持してプロの世界に飛び込む。【中島宙恵】