<中日5-5ヤクルト>◇20日◇北谷

 ルーキーが新風を吹かせてオープン戦が開幕した。ヤクルトのドラフト2位山本哲哉投手(24=三菱重工神戸)が、中日戦の2番手で登板し、我流で編み出した自慢の縦に落ちるスライダーで2回を無安打無失点と好投した。即戦力として期待される右腕が、社会人時代に身につけた探求心で開幕1軍切符をつかみ取る。

 新人とは思えない落ち着いたマウンドさばきで打者を手玉に取った。5回、山本哲は堂上剛を打席に迎えた。フルカウントからファウルで1球粘られたが、気持ちはぶれない。大きく息を吐き、内角低めへの縦に落ちるスライダーで空振り三振に取った。6回には代打前田に死球を与え、帽子を取って頭を下げた。それでも心はぶれない。落ち着いて後続を打ち取り、無安打投球でマウンドを駆け降りた。

 「ボールを低めに集めることができた。縦のスライダーは、それなりに三振も取れている」。大学時代にカーブの握りを自分なりに改良して編み出したウイニングショットを武器に、2回を1安打無失点に抑えた13日の紅白戦に続く好投。首脳陣も、即戦力中継ぎ右腕として大きな期待を寄せる。

 三菱重工神戸では、高速道路の自動料金収受システム(ETC)関連機器の開発部門に所属。開発工程から出る失敗を成功に生かすため、学生時代のように論文を書く日々だった。そこで培った探求心を、プロの世界でも発揮する。「まだまだスライダーで逃げている。直球で押していけるようになりたい。長いシーズンを戦うためには、1つの球種じゃダメ。シュートやフォークなど、他の変化球も覚えたい」とレベルアップに意欲を燃やした。

 高田監督からも「(相手が)ベストメンバーになってきたらどうなるか。経験を積んでいってほしい」と今後の投球を楽しみにしている。今月中に対外試合にもう1度登板する予定。開幕1軍入りをかけたオープン戦も、ETCなみにスイスイ通過してみせる。【由本裕貴】

 [2010年2月21日8時38分

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