東京五輪で野球、ソフトボールメインの会場となる横浜スタジアム。知っているようで知られていない“ハマスタ・トリビア”を紹介します。解説は横浜スタジアムの重田克巳取締役業務管理担当(56)です。ハマスタ一筋39年目のシーズンを迎える「ハマスタの番長」にお付き合いいただきました。【取材・為田聡史】

横浜スタジアム重田克巳取締役業務担当
横浜スタジアム重田克巳取締役業務担当

【国有地球場】横浜スタジアム宛てに郵便物を出したことはありますか? 同スタジアムの住所は「神奈川県横浜市中区横浜公園」で番地が存在しない。「建物の所有者は横浜市、運営管理は株式会社横浜スタジアムですが、この土地(横浜公園)が国有地であることが理由のようです」。

【列車も走れる? 一、三塁側にレールが敷かれている】内野席前列部分の半月型のスタンドが可動式になっている。可動式スタンドは全長36メートルの2本のレール上を1分1メートルの速度で移動。ネット裏からバックスクリーン方向に向かって野球開催時はV字に広がり、サッカー等での使用時はフィールドが縦長の長方形に変形する。マウンドも昇降式でソフトボールやコンサートイベントにも対応しやすい。「今は人工芝の素材や野球のスタンド設備の関係で可動させることはありませんが、今もレールの上に乗っています」。最後に可動したのは01年に開催された横浜(現DeNA)とJリーグ横浜Fマリノスとの合同ファンフェスタになる。

【設計図に描かれた4つのロッカールーム】設計段階から、一、三塁側にそれぞれ2つずつのロッカールームを計画。一塁側は監督室とコーチ室も2つずつ設置された。前身の横浜公園平和野球場の再建が協議されている最中に大洋とロッテのダブルフランチャイズ案があったようだ。「選手ロッカーは4つ、ホームとなる一塁側は2チーム分のロッカーに監督室、コーチ室もあります」

【ビューポイントを独占】両翼のウィング席が20年に完成。収容人数が開場後最多の3万4046人まで拡張した。ウィング席の最高地点には絶景が広がる。「伊勢佐木町方面に富士山、天気が良ければ横浜港方面の日本大通りの先にスカイツリーも見えます」。レフトスタンド後方にそびえるランドマークタワーが雲に覆われ、目視できないと雨天中止になるとの通説もある。

ネット裏からの横浜スタジアム全景
ネット裏からの横浜スタジアム全景

【武闘派もロマンチック派も兼ね備える】三塁側内野席下に剣道場がある。剣道横浜公武会の道場で、プロ野球開催日でも稽古は行われ、竹刀がぶつかり合う音が響く。「横浜平和球場時代から剣道場があったようで、当時、あったものはそのまま残そうとなったようです。公園内には野外音楽堂、バックスクリーン裏の噴水のところにはチャペルもあったんですよ」。照明灯がYOKOHAMAの「Y」をモチーフにしているというのは周知の事実。野球場としては小さくて、かわいい、横浜スタジアムで世界一を争う。汽笛の音とともに懐かしいあのフレーズで締めましょう。Good-bye Baseball!(この項おわり)