中日育成ドラフト1位の近藤廉投手(22=札幌学院大)が28日の日本ハム戦(札幌ドーム)で1軍デビューを飾った。9点ビハインドの8回に4番手で登板。先頭大田に左前打を許したが、その後は力強い投球を披露した。メジャー19本塁打のR・ロドリゲスを空振り三振、石川亮を捕邪飛、平沼も空振り三振。全て145キロ前後の直球で封じた。1回1安打無失点。投じた19球は、平沼に投じたカーブの1球以外はストレートで押した。

近藤の直球は微妙に変化するいわゆる「まっスラ」。大卒1年目の左腕が「回転は汚くても平均から外れていたらいい」という武器で、スタンドから見守る大学時代の恩師、友人の前で錦を飾った。

「先頭打者を出しましたが、そのあと走者にとらわれず、しっかりと自分の投ピッチングができました」。ブルペンでの緊張を忘れ、大舞台で強心臓を見せつけた。与田監督も「緊張して力みまくるかと思ったけど、ブルペンで見るより実戦の方がいい感じ」。3月30日に支配下登録。新人トップで1軍昇格させた左腕のデビュー戦に目を細めた。

最後の打者、平沼を打ち取った球は、球界現役最年長の福留の気配りで、近藤に手渡された。「福留さんから渡されてビックリしました。(寮の)部屋に飾ります」。自らの武器でバットに空を切らせた記念球が、これからの左腕の活躍を見守っていく。【中日担当=伊東大介】