朝ドラ「らんまん」うさぎ好き藤丸のモデルは金沢出身植物学者
- 2023年09月07日
高知県出身の植物学者・牧野富太郎をモデルに描いた朝ドラ「らんまん」。
実は、ドラマに登場する「藤丸次郎」は、金沢出身の人物がモデルになっているようです。
どんな人物なのか、ドラマをこよなく愛する宮崎アナが、金沢ふるさと偉人館で調べてきました。
(アナウンサー 宮崎浩輔)
藤丸のモデルは金沢出身!?
いよいよ残り1ヶ月を切った朝ドラ「らんまん」。
今週、久しぶりに登場した藤丸次郎は、主人公の万太郎の友人で、万太郎よりも先に大学の植物学教室で学んでいました。英語が苦手ですが、うさぎをかわいがるやさしい性格の持ち主です。
この藤丸のモデルになった人物は何人かいるようですが、そのうちの1人と思われるのが、金沢市出身の植物学者 藤井健次郎です。たしかに、名前が似ていますよね。
藤井健次郎は、牧野富太郎の4年後に、金沢で生まれました。
ドラマでは、主人公の万太郎が、植物学教室の教授によって、大学への出入りを禁止される場面がありました。実際もその通りだったようで、落ち込んでいた富太郎の家に、藤井健次郎が何度も通い、励まして支えたそうです。
さらに、牧野富太郎の日記には、昭和20年の終戦直前に、山梨県の疎開先で藤井健次郎と再会を果たしたと書かれていて、2人が強い絆でつながっていたことがわかります。
どんな人物だったのか。金沢ふるさと偉人館の学芸員・山岸遼太郎さんに教えていただきました。
功績その1 妙蓮の研究
藤井健次郎は、大学院生時代、金沢市の寺・持明院に生育している、妙蓮(みょうれん)というハスの研究をしました。このハスは、たくさんの花をつける「多頭蓮」の一種で、全国では、金沢と滋賀県の2ヶ所でしか見られないそうです。健次郎は、この妙蓮の特徴を植物学会で報告し、その結果、天然記念物に指定されました。見ごろは、夏の約2週間だけということで、来年は必ず見に行きたいと思います!
功績その2 染色体の構造・遺伝子
藤井健次郎は、植物学にとどまらず、日本の細胞遺伝学研究の先駆者でもありました。60歳のときには、細胞の染色体が「二重螺旋(らせん)構造」であることを発表し、染色体の構造を明らかにしました。健次郎が創刊した細胞学の研究雑誌「キトロギア(CYTOLOGIA)」には、世界中の研究者が競って投稿し、細胞遺伝学の発展に大きく貢献しました。「遺伝子」という言葉を最初に使った人でもあります。
功績その3 女性・後進の指導育成
健次郎は、多くの学者を育てました。そのうちの1人が、女性初の理学博士・保井(やすい)コノです。「科学者に女性は不要」と言われていた当時、健次郎は、男性も女性も関係なく、研究がしたいという人には、しっかりとした場を提供したそうです。保井コノは、功績その2で紹介した「キトロギア」では編集なども担当し、世界的雑誌に育てることに大きく貢献しました。
藤丸がこのあとドラマに登場したときは、ぜひ藤井健次郎にも思いを馳せてみてください。