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2004年6月2日付の神戸新聞朝刊1面
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2004年6月2日付の神戸新聞朝刊1面

 1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件の全記録を神戸家裁が廃棄していた問題で、同じく少年事件で、2004年に長崎県佐世保市の小学校で小6女児が同級生を殺害した事件の記録も全て廃棄されていたことが分かった。一方、6人が死傷し、17歳の少年が逮捕された00年の「西鉄バスジャック事件」は、事実上の永久保存にあたる「特別保存」とされていた。長崎家裁佐世保支部と佐賀家裁への取材で分かった。

 神戸新聞の取材に対し、最高裁は今月上旬の時点で把握する永久保存の少年事件記録を回答したが、その中に西鉄バスジャック事件は入っていなかった。最高裁通達は史料的価値が高い事件記録の永久保存を定め、最高裁への報告を義務づけている。取材からは、著名な少年事件でも家裁の保存の判断にばらつきがあり、最高裁の情報集約も十分でない可能性がある。

 長崎の小6女児殺害事件は04年6月、当時11歳の女児が、同級生の少女の首などをカッターナイフで切りつけ、失血死させた。長崎家裁佐世保支部で少年審判が開かれ、裁判長は「計画的に殺害行為に及んだ」と指摘したが、当時の少年法では少年院送致の下限は14歳で、児童自立支援施設送致となった。この事件から3年後の07年、少年院送致できる下限年齢を「おおむね12歳」へと引き下げる改正少年法が施行された。

 また、名古屋家裁によると、愛知県豊川市で00年に17歳の少年が夫婦を殺傷した事件の記録も廃棄されていた。少年は逮捕後、「人を殺す経験をしてみたかった」と供述。少年法の厳罰化を求める声が上がった。

 これら記録が廃棄された事件に対し、西鉄バスジャック事件の記録は永久保存されていた。佐賀発福岡行き高速バスを乗っ取り、乗客を殺傷したとされる少年は、神戸連続児童殺傷事件について書かれたホームページを閲覧し、「神戸の事件に影響を受けた」と話したという。

 最高裁通達は、永久保存する例として、世相を反映したり、社会の耳目を集めたりした事件などを挙げる。しかし、同じように社会を震撼させた事件でも、神戸連続児童殺傷事件や長崎小6女児殺害事件の記録は廃棄される一方、西鉄バスジャック事件は永久保存され、判断が分かれていた。

 このほか、山形家裁によると、93年に山形県の中学校で、巻かれたマットから死亡した男子生徒が見つかり、少年審判の事実認定を巡って議論が起こった「山形マット死事件」の記録は、「保存延長」で残されており、2025年10月が現時点の保存期限となっている。(霍見真一郎)

【長崎の小6女児殺害事件】2004年6月1日、長崎県佐世保市の市立小学校で、6年生の御手洗怜美(みたらい・さとみ)さん=当時(12)=が、11歳だった同級生の少女にカッターナイフで首などを切られ死亡した事件。怜美さんは、当時毎日新聞佐世保支局長の御手洗恭二さんの長女で、事件は大勢の児童がいる学校で起き、広く報道された。長崎家裁佐世保支部は同年9月、「命を奪ったことの重大性や遺族の悲しみを実感できていない」などとして、加害少女の児童自立支援施設送致を決定した。

【特集ページ】成人未満

成人未満失われた事件記録
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