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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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会員と家族以外立ち入り禁止 外国人居住区の「塩屋カントリークラブ」 2018/09/04

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緑にあふれる敷地内にはプールもある=神戸市垂水区塩屋町7(撮影・辰巳直之)

 時は昭和初期。英国人貿易商のアーネスト・ウィリアム・ジェームス氏が、神戸市垂水区塩屋の地にとんがり屋根の洋館を建てた。外国人向けの別荘地を造ろうと雑木林を開発。丘陵地はいつしかまちになり、自動車も走った。地元の人たちはこの一帯を「ジェームス山」と呼ぶ。地名でも、山の名前でもない。語感の良さ、高級感が相まって通称地名になった。

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アーネスト・ウィリアム・ジェームス氏

 ジェームス邸から道路を挟んで北東には、今も外国人だけが暮らす居住区が残る。「塩屋カントリークラブ」(神戸市垂水区塩屋町7)。全国的にも珍しく、普段、会員とその家族ら以外は立ち入りが許可されない。「垂水マンスリー 南北彩々」では、管理者から特別の許可を得て、同クラブ内の取材をさせてもらうことができた。

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塩屋カントリークラブの正面玄関。奥は一般開放されているレストラン=神戸市垂水区塩屋町7(撮影・辰巳直之)

 居住区には、1戸当たり約160坪(約530平方メートル)の敷地面積に70~80坪(約230~約260平方メートル)の一戸建て住宅が37戸並び、現在の入居は26戸。各戸とも庭付き、暖炉付き、ガレージ付きと、海外の郊外にある邸宅そのものだ。主に外資系企業や貿易会社などに勤める欧米やヨーロッパ、南米などからの30~40代の家族が暮らす。日本滞在は平均1~5年で、生活サポートや交流の場として居住区を選ぶ人もいるという。

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敷地内に37戸が建つ外国人専用住宅。暖炉を使うため煙突を備えた住宅が目立つ=神戸市垂水区塩屋町7(撮影・辰巳直之)

 敷地内にはプールやトレーニングジム、ダンスホールがある。また、カルチャースクール(日本語、書道、華道など)も開かれ、日本文化に親しんでいる。

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(上)季節によってパスタの種類などが変わるパスタランチ(下)(左)モンブラン(下)(中)栗と胡桃(くるみ)のタルト(下)(右)エビのアラビアータ(塩屋カントリークラブ提供)=神戸市垂水区塩屋町7(撮影・辰巳直之)

 レストランは一般開放され、昼の「選べるピッツァランチ」(税抜き1400円)や、夜の「淡路ビーフステーキコース」(同4500円)などが人気を集める。季節や曜日によってメニュー内容が変わるため、行く度に違う味が楽しめそうだ。(吉田みなみ)