6回戦(横浜スタジアム)
阪神
221 000 000|5
000 040 101x|6
横浜DeNA
瞬間、あふれんばかりの歓声が湧き起こった。同点の九回2死二塁。前の打席で同点打を放っている井手が2球目を捉えると、打球は右翼の頭上を越えた。途中出場の31歳は仲間にもみくちゃにされると、最後は中畑監督と熱い抱擁を交わす。今季最大の5点差をひっくり返すサヨナラ勝ちに、指揮官は「諦めない野球を続けた結果、野球の神様が付いてくれた」とまくし立てた。
四回を終わって0-5の完敗ムードを振り払ったのは主砲だ。下園の適時打で1点を返した直後の五回2死一、二塁で、筒香が右中間スタンド上段への3ラン。「ゾノさん(下園)がつないでくれたので、ランナーをかえすことだけを考えた」。2014年7月以来の3試合連続弾で1点差に迫り、今季14度目の逆転劇を呼び込んだ。
リリーフ陣の頑張りも見逃せない。国吉、小杉、エレラ、そして、九回は3連投となった山崎康が無失点。プロ初勝利をつかんだ新人は「チームメートの頑張りのおかげで、九回のマウンドに立てている。これを自信につなげていきたい」と充実感を持って言った。
これで06年にマークした球団記録となる横浜スタジアムでの11連勝に並び、26日からの交流戦に史上初めて単独首位で臨むことも決まった。「ずっと勝ち続けたいよ。ファンも最高の気分でしょう」と指揮官。本拠地の応援歌はしばらく鳴りやまなかった。
「すごいな、おい。神懸かっているね。最後の感動をみんなで味わえるのが何よりも幸せ。野球は素晴らしい。ナイスゲーム」
山口が今季最短の3回5失点で降板。一回に3失点した15日の広島戦に続いて、立ち上がりに打ち込まれた。
一回1死一塁から投ゴロを二塁に悪送球して傷口を広げると、上本の適時二塁打などで2失点。二回には鳥谷に左翼席への2ランを許し、三回にも福留に再びレフトスタンドに放り込まれた。
直球が走らず、ここ6試合で6得点と不振の阪神打線にのみ込まれた。「初回のエラーがすべて。そのままリズムを崩してしまって自分のピッチングができませんでした」。マウンドで何度も首をひねった。
下園が反撃を呼ぶ適時打を放った。5点ビハインドの五回2死一、二塁。初球のチェンジアップを左前に運んで1点を刻むと、直後に筒香が3ランを放った。前の打席まで無安打だった選手会長は「初回のチャンスで三振してしまい、借りを返したいと思っていた」とうなずいた。
14日に梶谷に代わって1軍に昇格。後輩の復帰は近いが「カジ(梶谷)を押しのけてとかは考えていない。一打席一打席、自分がやるべきことに集中している」。プロ9年目の30歳、ここまで先発した全5試合で必ず安打を記録している。