県は27日、地方自治制度に関する考え方を整理した「これからの神奈川県のあり方について」とする素案を公表した。道州制の考え方を下敷きにしながら、県内全体を「州」に見立てて再構築した。県域全体を特区に位置付けることで、国の権限移譲や規制緩和の実現を目指すとしている。
横浜市の諮問機関が県からの独立を提言したことを受け、4月に検討に着手。指定市長会が提唱する特別自治市構想は「課題が多い」として否定的な見解を示した。9月開会の県議会定例会に案として報告する。
素案によると、国の役割は外交や防衛など国家の存立に関わる分野などに特化。神奈川のことは「神奈川自らの意思で決定し、財源・権限と責任も自ら持つ」と掲げた。
地方は「基礎自治体と広域自治体の2層制」を採用し、県は「引き続き指定都市を含めた県内全市町村を包括」と言及するなど、県からの独立論を明確に否定している。
県域全体の特区化は、現行の道州制特区推進法に準じた新制度の創設を提案。人口規模や域内総生産、事業所数などから神奈川単独で「州」の位置付けにする方向性を打ち出している。
個別の制度論でも道州制は「導入が必要」と支持。一方で特別自治市は▽広域自治体の総合的一体的な取り組みが阻害される▽広域自治体による行政サービスのための税源確保が困難になる▽権限の過度な集中が懸念される―などの課題を挙げ「慎重な検討が必要」と指摘した。
ただ他方で「県の中で権限や財源を取り合うのではなく、国から持ってくるという観点で連携」することも呼び掛けている。二重行政の弊害の指摘には、神奈川では以前から知事と市長の意見交換で解決してきた経緯に触れ「大きな課題があるとは受け止めていない」との見解を示した。
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