寮生側が一部勝訴 京大吉田寮明け渡し訴訟―京都地裁
老朽化した京都大吉田寮(京都市左京区)を巡り、京大が現棟(旧棟)に住む寮生や元寮生計42人に明け渡しを求めた訴訟の判決が16日、京都地裁であった。松山昇平裁判長は、既に退去済みの元寮生や新規入寮者に明け渡しを命じた一方、従前から住み続けている14人については、京大側の請求を棄却した。
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松山裁判長は、吉田寮の入寮手続きについて、寮生でつくる自治会が行うことで京大と合意していたと指摘。自治会が寮を管理することを京大も認めていたとした。
その上で、京大側が2018年9月末までの退去と新規入寮募集停止を通達した17年12月19日時点で、京大が管理権を回復したと判断。同日以降の新規入寮者に明け渡しを命じた。退寮者については、「荷物を寮に残して占拠を続けている」などと指摘した。
大学側は、寮の耐震性に問題があるなどと主張していたが、判決は「十分だとは言えないが、在寮契約を継続することが著しく困難となったと認めることはできない」と判断した。
判決などによると、吉田寮の現棟は1913年建築の木造2階建てで、利用されている日本最古の学生寮。和室が約120部屋ある。相部屋で、トイレや炊事場、風呂場は共同利用。月2500円程度で住まうことができ、寮出身者には、照明などに広く利用されている青色発光ダイオード(LED)を開発し、14年にノーベル物理学賞を受賞した故・赤崎勇さんらがいる。
判決を受け記者会見した寮生の男子学生は「思いも寄らないうれしい判決。大学が考え直し、寮生と話し合いを再開してくれることを願っている」などと語った。京都大は「判決内容の詳細を確認しているところであり、コメントは差し控えさせていただきます」としている。