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西本幸雄が阪神の監督だったら
 プロ野球「もしも、もしも・・・の物語」

 1984年のシーズンオフ、安藤統男監督の突然の退団を受け、阪神の新監督問題が勃発した。真っ先に候補に挙がったのが西本幸雄氏だった。大毎、阪急、近鉄を合わせて8度リーグ優勝に導いた名将。現場を離れて3年たち、既に64歳になっていたが、野球に対する愛情と情熱は失っていなかった。長年優勝から遠ざかった猛虎を立て直すのに最適な監督と、マスコミ、ファンは大いに騒いだ。

 西本氏も、阪神から内密に要請されていたことを隠さなかった。では受諾か、と思われたが話はそう簡単ではなかった。集まる報道陣を前に、西本氏は「私もトシをとっており、受けられない。体が激務に耐えられないと思う」という意味のことを言った。

 「あと数年若ければ…」とも付け加えた。記者会見場は、当時西本氏が専属評論家になっていたテレビ局の広間。会見の最中に、同じ局に勤めていた元阪神の吉田義男氏が「みなさん、たいそうお集まりですなあ。関係ない私は失礼した方がよろしいな」と笑いながら通り過ぎていった。

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