スクロールで次の写真へ
【ワシントン時事】静岡県・伊豆半島沖で起きた米イージス駆逐艦「フィッツジェラルド」とコンテナ船の衝突事故で、米海軍は8月17日、事故発生直後の艦内の様子をまとめた報告書を公表した。乗組員からの聞き取り調査を基に作成された報告書には、事故直後の様子が生々しく記されている。
「水だ」「逃げろ」。6月17日午前1時半ごろ、フィリピン船籍のコンテナ船「ACXクリスタル」の船首部分がフィッツジェラルドの右舷に衝突した。
艦長室は大破。乗組員の寝台区画がある海面下の船体には4~5メートル四方の穴が開いた。
当時、寝台区画には35人が寝ていた。衝突の衝撃で寝台から投げ出された者や状況が分からずに寝台に残った者も。何人かが滝のように流れ込む海水に気付き、まだ寝ていた何人かをたたき起こした。
停電が発生し、外部との通信が途絶えた。非常灯だけで照らされた薄暗い通路。濁流に押し流されたがれきやマットレス、ロッカーを避けつつ、上の階へ続くはしごを目指す。最後の乗組員がはしごにたどり着いた時には、首の高さまで浸水していた。
階上に避難した乗組員は水密扉を閉じ、浸水区画を閉鎖した。負傷者の手当てや排水作業に追われつつ、点呼を取った。
7人が行方不明だと判明したのは午前5時40分。7人は翌日、浸水した寝台区画で遺体で見つかった。