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2014年2月19日(水)

日産の非正規切り裁判

違法・脱法行為の実態が浮き彫りに

藤田温久弁護士に聞く

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 神奈川県内の日産自動車と日産車体で「非正規切り」されたJMIU(全日本金属情報機器労働組合)の組合員5人が両社などを相手どり直接雇用・正社員化を求めている裁判が、横浜地裁でたたかわれています。原告側が裁判で明らかにしたことなどについて、藤田温久(はるひさ)弁護士に聞きました。

 (神奈川県・河野建一)


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 労働者派遣法は、直接雇用で働く正社員を派遣という間接雇用に置き換えてはならないとの「常用代替防止」が原則です。これは、本来、雇用は直接雇用が基本だからです。このため、同法は、派遣制限期間を超える場合、派遣先企業が本人に直接雇用を申し込むことになっています。

グループ全体で

 しかし、原告は、「偽装請負」「偽装派遣」などで、長年にわたって正社員のように働かされたあげく、解雇されました。裁判では、日産が、グループ全体で、原告らを常用労働の代替として使うためにさまざまな法律違反をしていたことが明らかになりました。

 原告の阿部恭さん、土谷理美さんが派遣されていた日産自動車テクニカルセンターデザイン本部では、派遣法で派遣先に対して禁じている「事前面接」が行われていました。「事前面接」は、派遣先の日産に派遣労働者の採用権限を与えるものです。裁判では、同社が「事前面接マニュアル」に沿って原告らにデザインの能力が分かる作品を持参させて評価し、採用を決定し、賃金も決めていたことがはっきりしました。

 原告の岡田知明さんが派遣されていた日産自動車では、派遣社員をいったん直接雇用したのち、再び派遣社員に戻す「地位のキャッチボール」が行われていました。これは派遣先で制限されている、低コストの派遣労働者を繰り返し使うための脱法行為です。

 原告の釜倉猛さんともう1人の原告男性が期間社員として働いていた日産車体でも「地位のキャッチボール」がありました。しかも、原告男性の賃金ランクが、日産と派遣元の間で書類によって引き継がれるなど、日産が主導していたことも浮き彫りになりました。

 常用雇用では、合理的な理由がなければ解雇できないとする解雇権乱用の法理が厳格に適用されます。日産は、この法理の適用をまぬがれるため、解雇を容易に行えるよう間接雇用の形態を取ったのです。

常用代替防止へ

 「常用代替防止」の原則を骨抜きにする動きが強まるなか、3月25日に裁判の判決が横浜地裁で言い渡されます。裁判の勝利で、日産に直接雇用の責任を取らせて、こうした動きを止める力にしたいと思います。

 原告らは、地裁前や日産グローバル本社前で宣伝し、地裁に公正な判決を求める署名を集めています。みなさんの大きな支援をよろしくお願いします。


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