東京・文京区で、白バイの制止に耳も貸さず、歩道を猛スピードで走り続ける「自転車」。

この記事の画像(16枚)

よく見ると、スピードが出ているにもかかわらず、ペダルをこいでいる様子はありません。

白バイに追いかけられているが、ペダルをこいでいる様子はない
白バイに追いかけられているが、ペダルをこいでいる様子はない

都内で撮影された別の映像には、同じくペダルをまったくこがずに、原付と同じスピードで車道を走る自転車の姿が。

隣を走る原付と、ほぼ同じスピードで走行する自転車
隣を走る原付と、ほぼ同じスピードで走行する自転車

自転車にまたがっている人物は、ヘルメットを着用していません。

ヘルメットを着用していない
ヘルメットを着用していない

撮影者:
平坦な道で30キロで走っていて、なかなか追い越せない。後方確認とかもせずに、車線変更してきたりしているので、正直、危ないなと思います。

今、ペダルをこがないでも進む、「フル電動自転車」による危険運転が相次いでいるといいます。

今年7月には、国交省と警視庁が合同で取り締まりを行うなど、フル電動自転車の危険運転は、社会問題に発展しているのです。

追い越し・逆走…危険運転が横行

そもそも「フル電動自転車」とは、一般的な、ペダルをこぐ際にモーターが補助する、「電動アシスト自転車」とは異なり、ペダルをこがなくても進むことができる電動自転車を指します。

バイクと同じ扱いとなり、運転免許証が必要で、ナンバープレートの表示、ヘルメットの着用、保険への加入などが必須です。

中央線をはみ出して、前の車を追い越し
中央線をはみ出して、前の車を追い越し

しかし、「めざまし8」が街を取材すると、ヘルメットやナンバープレートをつけていないだけではなく、無理な追い越しを行ったり、逆走したりと危険な運転が横行していました。

車道を逆走している
車道を逆走している

さらに大阪市では、二人乗りをしたフル電動自転車とみられる車両が、信号無視の上、横断歩道を渡ろうとした一般自転車と衝突するという事故も発生。

大阪市 一般自転車と衝突するフル電動自転車
大阪市 一般自転車と衝突するフル電動自転車

フル電動自転車の今を、専門家に詳しく聞きました。

台数の増加で取り締まり追いつかず

危険な運転が増加している、フル電動自転車。自転車安全利用研究会代表の谷田貝一男氏は、「台数の増加により、取り締まりが追いついていない」と話します。

自転車安全利用研究会代表 谷田貝一男氏
自転車安全利用研究会代表 谷田貝一男氏

2021年には、東京・豊島区で、20代の男が、フル電動自転車を運転し50代の女性に衝突。重症を負わせた疑いで送検されました。男は、本来フル電動自転車を運転するのに必要な「免許」を持っておらず、“無免許”だったといいます。

警察庁の調べによると、2022年の1年間に発生した、フル電動自転車の交通違反は、整備不良などでの検挙が全国で96件。
指導・警告は1096件で、その中でも無免許運転が最多でした。

若狭勝弁護士:
なぜ「指導・警告」で終わるのかなと。無免許運転ということになると、道路交通法違反であり、結構厳しいんです。無免許自体が。
だから指導・警告ではなくて、どんどん検挙して無免許の場合は反則金ではすまないはずなので、どんどんやっていけばいいんです。

電動アシスト自転車との勘違いも要因か?

外見からは、電動アシスト自転車と見分けがつきにくい、フル電動自転車。国民生活センターには、「公道で走れないものと知らずに購入した」という相談も寄せられています。

実際にインターネットでフル電動自転車を販売しているサイトを見てみると、冒頭は自転車の写真と共に、「フル電動自転車」ではなく、「電動アシスト自転車」の文字が。

途中には、ヘルメットなしで走行している写真も掲載されていますが、最後に「公道走行不可、こちらの商品は一般電動機付き自転車扱いのため、必ず公園や私有地で使用してください」と書かれており、公道を走る際はヘルメットの装着や、免許の所持、ナンバープレートが必要だと記載されていました。

――このようなまぎらわしい表記の仕方が誤解を招き、無免許運転などの一因になっているでしょうか?
自転車安全利用研究会代表 谷田貝一男氏:

そうですね、どうしても写真やイラストを見て、「これは公道を走れる電動アシスト自転車だ」というふうに思って注文してしまうという購入者が非常に多いという事ですね。
特に注意事項というのは文字が小さくなっていますから、なかなか読んでもらえない。
そういう点を販売者の方は狙っているのではないかと思いますね。

歩行者の間をすり抜けながら、歩道を走るフル電動自転車
歩行者の間をすり抜けながら、歩道を走るフル電動自転車

販売側は危険運転が横行する現状をどのように考えているのでしょうか?フル電動自転車を販売している、glafit株式会社の鳴海氏は。

――違法な状態で乗っている人がいることについて、販売店側はどのようにお考えですか?
glafit株式会社 代表取締役 鳴海禎造氏:

個別の会社側にもモラルが求められますし、そして最終的にそれを購入して利用する側も、こういったことは違法行為であって、けがなど発生した場合は、かなり厳しく処罰されるということは、改めて皆さんにご認識、持っていただきたいと思っています。

鳴海氏の会社では、対策として、ナンバープレートの交付、自賠責保険の加入の2つが確認できなければ納車をしないようにしているといいます。
さらに、取り締まりなどにいかしてもらうため、警察や行政に対し試乗会を行っているということです。
(めざまし8 10月18日放送)