強烈な個性の伝説的タイトル

 いまから26年前の1997年(平成9年)2月28日は、プレイステーション用ソフト『クーロンズ・ゲート』が発売された日。

『クーロンズ・ゲート』が発売された日。サイバーパンクな伝説の怪作アドベンチャー。25年ぶりの伏線回収がされる新作ムービーノベルも発売【今日は何の日?】

 『クーロンズ・ゲート -九龍風水傳-』は、ソニー・ミュージックエンタテインメント(当時)から発売されたアドベンチャーゲーム。独特な世界観と奇妙なキャラクターたちが織りなす不可思議なゲーム体験から賛否両論、話題に事欠かなかった作品だ。そんな内容ゆえに“怪作”などと評されることもあり、いまなお熱烈なファンに支えられている。

 2022年10月29日には25周年を記念したイベント“KOWLOON'S 25th ANNIV. 超級路人祭~クーロンズ・ゲート プロジェクト25周年記念イベント~”が開催。熱量の高いファンたちを迎えて大いに盛り上がった模様だ。もしかすると読者の中にもイベントに参加したという人がいるかもしれない。

 ゲームの主人公は超級風水師。プレイヤーは突如として出現した陰界の“九龍城”へ潜入し、乱れた風水を正して世界の崩壊を防ぐために戦っていくことになる。

『クーロンズ・ゲート』が発売された日。サイバーパンクな伝説の怪作アドベンチャー。25年ぶりの伏線回収がされる新作ムービーノベルも発売【今日は何の日?】

 九龍城内はサイバーパンクの猥雑な雰囲気に溢れ返っており、ここにシビレたプレイヤーは多かったはず。薄暗い路地は汚く寂れている一方で、目を凝らして見ると場にそぐわないようなハイテク機器が大量に転がっているのがおもしろい。サイバーパンクの象徴とも言えるギラギラと輝くネオンサインの看板も印象的だったので、覚えている人も多いんじゃないかな。

 街の中を歩いて探索する“JPEGダンジョン”ではプリレンダリングのムービーが流れるという表現方法を採用していたのが、じつにユニークだった。移動できる場所は決まっていて自由度は少なかったものの、臨場感溢れる体験ができた。珍妙な風体の住人たちとの会話で情報を集めれば、一般的な3Dダンジョンのように自由に探索できる“リアルタイムダンジョン”にも挑戦可能だった。

『クーロンズ・ゲート』が発売された日。サイバーパンクな伝説の怪作アドベンチャー。25年ぶりの伏線回収がされる新作ムービーノベルも発売【今日は何の日?】
『クーロンズ・ゲート』が発売された日。サイバーパンクな伝説の怪作アドベンチャー。25年ぶりの伏線回収がされる新作ムービーノベルも発売【今日は何の日?】

 2017年10月26日には、本作の前日譚となる『クーロンズゲートVR suzaku』がプレイステーションVR用タイトルとして発売。20年目のシリーズ最新作として大いに注目されていた。

 そして2019年11月10日には、『クーロンズ・ゲート』の続編である『クーロンズリゾーム』の制作が発表。路地裏オープンワールドと題されたアドベンチャーゲームとして発売予定とのことだった。

 しかし、コロナ禍などさまざまな影響か開発は難航。しばらく音沙汰がなかったのだが、2021年に『クーロンズリゾーム』のプリプロダクション版の動画が公開された。これでファンの人たちはホッとしたのではないか……と思いきやふたたび問題が発生。舞台となる九龍城の多くを占める3Dアセット(GCデータの素材など)がコンシューマー対応していないことが判明し、コンシューマー版移植を断念したことがインタビューを通じて明らかになったのだ。

 2022年5月28日には、システムの大幅な見直しが発表。「3Dの『クーロンズリゾーム』の可能性を模索したものの、3D空間でのプレイにはアクション性が不可欠である」とのことからジャンルは“ムービーノベル”に変更された。この仕様変更により高スペックなPCは必要なくなっている。

 そしてついに2023年2月22日、待ちに待った『クーロンズリゾーム パイロット版(第1巻)』が、創作物の総合マーケットであるBOOTHにて発売となった。『クーロンズ・ゲート』のサブテキストとして伏線回収と設定の強化を目的に制作されたコンテンツとなっていて全8巻の分冊リリースとなる。全巻リリースの完了は2023年度内を予定している。なお、“パイロット版”はシナリオ的には第1巻と同じものになるが、クラウドファンディング支援者クレジットなどが実装されているバージョンということだ。

『クーロンズ・ゲート』が発売された日。サイバーパンクな伝説の怪作アドベンチャー。25年ぶりの伏線回収がされる新作ムービーノベルも発売【今日は何の日?】
『クーロンズ・ゲート』が発売された日。サイバーパンクな伝説の怪作アドベンチャー。25年ぶりの伏線回収がされる新作ムービーノベルも発売【今日は何の日?】
『クーロンズ・ゲート』が発売された日。サイバーパンクな伝説の怪作アドベンチャー。25年ぶりの伏線回収がされる新作ムービーノベルも発売【今日は何の日?】
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『クーロンズリゾーム パイロット版(第1巻)』

 シナリオは文字数ベースで約25万字あり、約11万字であった『クーロンズ・ゲート』の倍以上のボリュームになるようだ。シリーズファンであれば必ずチェックして、動くシナリオかつ動く設定資料である『クーロンズリゾーム』を堪能すべし。

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