2023年2月22日(水)にセガより発売されたプレイステーション5、プレイステーション 4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Steam)用ソフト『龍が如く 維新! 極』(以下、『維新! 極』)。
本作は、2014年にリリースされた『龍が如く』シリーズのスピンオフ作品2作目である『龍が如く 維新!』を現在の最新技術でゴージャスに生まれ変わらせ、さまざまな追加や調整を行った“極”タイトルとなっている。
『龍が如く 維新! 極』(PS5)の購入はこちら (Amazon.co.jp) 『龍が如く 維新! 極』(PS4)の購入はこちら (Amazon.co.jp)今回は『維新! 極』の開発を手掛けた龍が如くスタジオ代表の横山昌義氏と、『龍が如く』シリーズチーフプロデューサーの阪本寛之氏にインタビューを実施。リメイクで変更された部分の気になるポイントを伺いつつ、本作に対するユーザーからの反応や開発秘話、日本とは少し違う海外ユーザーについてなどを語ってもらった。
なお、本記事は週刊ファミ通2023年3月9日号(No.1786/2023年2月22日発売)に掲載した発売記念特集内のインタビューに加筆・修正を行ったもの。特集では本作の魅力を5つのポイントで紹介しているので、ぜひチェックしてほしい。
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BOOK☆WALKERで購入 Kindleで購入横山昌義氏(よこやままさよし)
龍が如くスタジオ代表/製作総指揮。オリジナル版ではプロデューサー、脚本、音響監督などを担当。現在は『龍が如く8』や『龍が如く7外伝 名を消した男』の開発を進めながら、本作にも製作総指揮として携わる。(文中は横山)
阪本寛之氏(さかもと ひろゆき)
『龍が如く』シリーズ チーフプロデューサー。オリジナル版ではディレクターを担当し、『龍が如く』シリーズの新境地を開拓。現在はシリーズのチーフプロデューサーという立場ながら、本作では率先して陣頭指揮を執った。(文中は阪本)
海外のみのリリース予定だった本作が“極”タイトルにいたった理由
――ついに発売を迎えますが、現時点(※本取材は2月頭に実施)の予約状況はいかがですか?
横山そもそも本作は「欧米圏でも『龍が如く 維新!』を出してほしい」というリクエストと「『龍が如く 維新!』を世界に届けよう」という我々の思いが重なってスタートしたプロジェクトなのですが、意外にも国内はすごく調子がいいです。正直、最初は日本版の発売は考えていなかったんですけれど。
――ええ!? いきなり意外な発言でした。
横山もともとはアンリアルエンジンで作ってそのまま出そうというプロジェクトでしたから。これまで『龍が如く 維新!』は欧米圏で出ていなかったので、そのまま出しても海外の皆さんからすれば完全新作になりますからね。
阪本そうそう、だから日本で発売する予定はありませんでした。
――そうだったんですか。
横山ただ、話を進めていくうちに「『龍が如く』は日本で盛り上がらないと始まらないんじゃないか? 日本で盛り上がってこその『龍が如く』じゃないか」と思い始めまして。
阪本開発の序盤でしたが、途中で方針を変えて「日本でも“極”として『龍が如く 維新!』を出して盛り上げよう」という話になりましたね。
横山それで再度予算を取り直して(笑)。その時点でやっと「それならキャストも変更しよう!」という話になったんです。
――その決断がなければ、日本では本作が出てなかったわけですね?
横山そうですね。当初は“極”にするつもりもなかったですから。というか、海外で発売することが目的だったので、変に『Like a Dragon』や『YAKUZA』という名前が付いていると勘違いを生むかもしれないので、「『ドラゴンザムライ』みたいなタイトルでもいいよ」なんて言っていましたから。とくに『YAKUZA』なんて意味がわからないじゃないですか。本作に極道なんて出てこないし。
――それはそうですけれど(笑)
阪本じつは途中まで本気で「『ドラゴンザムライ』というタイトルだったらわかりやすくない?」という感じで進んでいました(笑)。いろいろリサーチする段階までいったんですけれど。
横山ただ、よくよく調べたら、そもそも『サムライ&ドラゴンズ』っていうゲームがセガから出てたという(笑)。
――よくできた話ですね(笑)。
横山それでも「今回は逆の『ドラゴンザムライ』だから平気!」なんて言って、商標調
査もクリアーさせて。ところが、いざアメリカでタイトルに関する話題が出たら、担当者が「お前はセンスがない」とこき下ろされたらしくて。ぜんぶ私のせいなんですけれど(笑)。
――かわいそう(笑)。
横山その後、アメリカの担当者から「『Like a Dragon: Ishin!』にできませんか?」と打診がありました。その時点では「どうしようかな?」とは思っていたのですが、いろいろと考え、冒頭でお話した通り「『龍が如く』というタイトルを背負わせるなら、日本が起点であるべきだし、日本版の“極”も含めてちゃんと作ろう」と思いいたり、方針を変更しました。
阪本隊士の見直しなども、そこから追加されていった要素のひとつですね。
横山方針を変えてから、キャストを含めいろいろなものを足していって、いまにいたっているんです。
――いわゆる“極”にする上で、ほかの要素は検討されたのでしょうか?
横山一番迷ったのは過去のナンバリングシリーズの“極”にあった追加ストーリーを入れるかどうかです。“極”といえば追加ストーリーがあると思われている日本のユーザーさんも多くいらっしゃることは判っていましたので。
阪本そこで追加のエピソードを検討していったのですが、どうしても現代版と『維新』とでは描くべき過去のアリナシが決定的に違うことがあり、そこがどうしても解消できませんでした。
――描くべき過去とは?
横山たとえば『龍が如く 極』では、ライバルである錦山の過去を描きました。でもあのやり方ってユーザーの方に対して公式が「このキャラクターはこういう風にみてくださいね」と言っているのに近いやり方なんですね。ではなぜ『龍が如く 極』でそのやり方がで来きたかというと、我々が商品ターゲットを完全に「過去に『龍が如く』をプレイしたことのあるファン」に限定していたからなんです。
阪本『維新! 極』では、広く世界の人々に新作として届けるというコンセプトがありましたから、同じようなやり方はできません。たとえば武市半平太の裏側を描くことはストーリーのネタバレにもなりますし、またほかのキャラクターも同様です。
横山過去のナンバリングシリーズの“極”では、すでに確立しているキャラクターが多く存在し、裏側や別エピソードを追加しても、メインストーリーがブレることはなかったのですが、『維新! 極』の世界観では無理があると判断しました。
阪本そこで『龍が如く 極』のように、部分的にメインストーリーを改変するということも検討したのですが、『維新! 極』のメインストーリーには付け加えるべき要素はないと思い、ストーリーには手を付けずに、サブストーリーの改修等にとどめることとしたんです。
――確かに『維新!』に登場するキャラクターは、裏の顔や思惑がありすぎて、追加エピソードを作るのは難しいですよね。
阪本悩ましい判断ではありましたが、今作では武器や隊士カードの常駐化を最大の追加要素として取り組むことにしました。
――そんな開発秘話があったんですね。
横山そういった経緯から、「日本で本当に売れるかな?」という疑問はしばらくつきまとっていたんですよ。ところが、東京ゲームショウ2022ではかなりの数の試遊台を出してみたら、大列ができるほど好評でした。その後の国内の予約状況もこちらの予定を大幅に上回るほどの順調ぶりでとりあえず、ひと安心できましたね。
アンリアルエンジンとドラゴンエンジンの違いが開発に影響
――本作は『龍が如く 維新!』というオリジナルがある作品ですが、開発はでしたか?
阪本いやいや、いつも通り大変でした(苦笑)。
横山『龍が如く』シリーズで初めてアンリアルエンジンを使ったことが大きな理由ですね。
――使い勝手がまるで違うのですか?
横山クセが強いというか……思っているよりも手はかかりましたね。
阪本アンリアルエンジンが優秀なゲームエンジンであることは間違いないんです。昼の京に差し込む光などを表現するという部分に関して言えば、これまで使ってきたドラゴンエンジンよりも優れています。その代わり、「ドラゴンエンジンで当たり前のようにできていたことができない」ということも多くて。
――なるほど。
阪本開発終盤にバグチェックを行いますが、その修正ひとつとっても「いままで通り」が通用しないんです。というより、そのバグの原因が驚くほど根深いものだったりして。
横山「見当を付けていたところと角度違いのところに問題がある!」みたいなこともありました。大げさに言うと、「いままでは物理学で考えればすべての問題が解決していたけれど、今回は位相幾何学のアプローチでものを考えないとダメだ!」みたいな(笑)。
――ということは、簡単に直りそうなバグも修正に時間がかかったり?
阪本ありましたね。そういう大変さは、今回ならではでした。
横山あとは、『維新! 極』では、サブストーリーなどで何らかの役割を担うキャラクターが一部刷新されています。たとえば、『龍が如く0 誓いの場所』(以下、『龍0』)に登場する壊し屋スタイルの師匠のタツ姐というキャラクターが本作に登場しているのですが、時代を超え、役柄を変えた形でタツ姐を出してみると、ぜんぜんタツ姐っぽくない(笑)。
――あああ、そういう問題ですか(笑)。
横山『龍0』時点ではグラフィックも超高精細ではなかったので、顔というよりは「スカジャンを着て、壊し屋の武器を持っていたらタツ姐」という感じで認識していたわけです。ところが今回は、スカジャンを着せることもできないし、設定上壊し屋の武器も持たせられない。そして、キャラとしての名前も“八重”に変わっているので、「コレ誰?」となるわけです。
――なるほど(笑)。確かにそういう状況が生まれそうな経緯ですね。
横山もちろん、元ネタがわかりやすくなるように、可能な人物はシリーズで登場したときに役回りはなるべく近づけるようにはしていて。たとえば、本作にバッカスという懐かしいキャラクターが登場します。彼は過去シリーズで技を教えてくれる師匠でしたが、本作では海外から見た立場で日本の幕末の歴史や文化を教えてくれる役割になっていたり。同じような立ち回りにしてわかりやすくする配慮はしています。
――そのくらいリンクしていると大丈夫そうですね。当然、ガッツリ物語に絡んでくるキャラクターも問題なさそうです。
横山ええ。メインキャストはさすがに大丈夫なのですが、タツ姐くらいの存在感だと怪しくなってしまうんですよね。ただ、やっぱり本作には出てほしいので、着物をスカジャンっぽい柄に調整したり、登場するエピソードを壊し屋っぽいものにして、なんとなく元ネタをわかるようにしたり。そういう苦労はありました。ただ、この“似てない問題”がわりと頻発したんです。桐生というか、本作の坂本龍馬もアンリアルエンジンに移すとぜんぜん顔が違ったりして。
阪本そういうキャラクターは、骨格から調整していきましたね。
―― CGデータは流用ができるんですよね?
阪本もちろんできますが、同じデータをアンリアルエンジンで表示させると、違って見えるんですよ。
――なぜそのようなことが起こるんですか?
横山あくまでも私の感覚なんですが、アンリアルエンジンは欧米のキャラクターを作ることを得意としているからかな? と思うんです。なので、日本人を表現すると違う感じに見える。
阪本アンリアルエンジンだと顔のシワなどはとてもリアルに出せる反面、日本人のように平坦な顔を表現するのは、あまり得意としていない気がします。ですので、そこはしっかりカスタマイズしましたね。
横山具体的には、平坦な顔が得意じゃないので、そういったキャラクターに影を落とすと、形が変わったように感じるんです。
阪本陰影がうまく出ないだけで、ぜんぜん違って見えるんですよね。
横山逆に言えば、私たちが長年かけて作り上げてきたドラゴンエンジンは日本人の平坦な顔に特化しているので、綺麗にカッコよく見せられるカスタムになっているんですよね。
――なるほど。使うゲームエンジンでそこまで違いがあったんですね。
阪本そうですね。正直、本作を作り始めてからすぐに面食らった部分です。
横山ただ、今回アンリアルエンジンで作ったことで、開発としてはものすごく大きな資産を得られたとは思います。
――これからアンリアルエンジンでも作れるようになったという?
横山アンリアルエンジンで作るかどうかはいまはまだわかりませんが、ドラゴンエンジンへのフィードバックが得られた部分が大きいですね。
阪本経験値としてすごく溜まりました。アンリアルエンジンなら当たり前のようにできるようなことを、ドラゴンエンジンに思想として持ってくることができたので。
横山今回のチャレンジで、いま開発している『龍が如く7外伝 名を消した男』や『龍が如く8』などにも大きなメリットがありましたね。結果的にドラゴンエンジンでのグラフィック表現の底上げができたと思います。
日本人から見ると少し不思議? 海外で人気を博した小ネタとは
――本作のメインターゲットとして考えられていた、海外ユーザーの反応に関しては、実際のところいかがでしたか?
阪本正直、海外での評判はめちゃくちゃいいです。先日ドイツのベルリンで大規模なプレスイベントを行ってきたのですが、本作のアクションをかなり楽しんでいただけました。また、プレイスポットの反応も日本とは違っていて。競鶏を見た方々が大爆笑していたのを見て、文化によってフックする部分が違うんだと改めて感じましたね。
横山『龍0』に登場するニワトリのコケ太郎が形を変えて『龍が如く7 光と闇の行方』(以下、『龍7』)にコケコッ子としても出てくるのも、じつはアメリカでの人気を踏まえてなんですよね。本当に、すごい人気なんです(笑)。
――あははははは! しかし、なぜニワトリがそこまで人気なのでしょう?
横山欧米圏ではニワトリがギャグやコメディの象徴なんですかね。そんなニワトリががんばっている姿を見ると、彼らはおもしろく見えるのではないかと。
――なるほど!
阪本あと、ザリガニのナンシーちゃんや、羊の顔をした名画座の睡魔も人気ですね(笑)。だから、『龍7』のインターナショナル版を作ったときには、あえて海外の人気キャラクターをパッケージに入れているんですよ。ただ、動物全般が人気というわけでもなくて、犬のマメはそこまで人気が高くなかったり、不思議ですよね。
横山昨年の9月の新作発表会当日に公開した“Storm the Castle”という動画は、欧米のファンがニヤリとする要素が凝縮したモノになっています。欧米でのリサーチ結果を踏まえたうえで、海外の映像ディレクターに彼らがおもしろいと思う要素を集めて制作してもらいました。
阪本ちなみに、その動画に登場してくれたインフルエンサーの方々が、本作に隊士としてコラボで登場します。
Storm the Ca
――海外の方にウケるサブストーリーが、本作を含め今後のタイトルでも増えそうですね。
横山いやいや、海外でウケるからといって、我々がとびきり推すということをするつもりもないですけどね。
阪本発信はあくまでもこちらのセンスでやらせてもらいますから。
横山そうは言っても、海外も含めたファン層として考えると、コケ太郎やコケコッ子、ナンシーちゃんは、人気キャラクターになってしまうんですけどね(笑)。
――まあ、日本でも好きな人はいますから、上位に来てもおかしくないですけれど。とはいえ、想定より遥かに上だったら「海外ファンの応援の力だな」と思うことにします。
阪本そんなわけで隊士にはニワトリや犬もいるので、期待してください。
キャストを変更した結果、物語の印象は大きく変化!
――基本的に本作のメインストーリーはオリジナル版そのままと伺っています。ただ、隊長格を演じる役者が刷新され、それぞれの演技が変わったと思うのですが、その影響について教えてください。
横山演じている人が変わっただけで、同じシーンでも印象はかなり変わって見えますね。とくに武市半平太は相当違います。発表会の際に壇上で中野英雄さんがイジられたりしていましたが、中野英雄さんが担当する音響監督といい意味で激モメするくらい演技をいろいろ考えてくださっていました。
RGG SUMMIT 2022 / 龍が如くスタジオ新作発表会【音声修正版】
――あれは事実だったんですね(笑)。
横山本当にいい意味で、ですけれど(笑)。基本的に本作のシーンはオリジナル版と同等のもの、つまりオリジナル版を担当された高橋克典さんの声や演技の尺で作られています。そこに中野さんの演技を入れていくわけですが、当然おふたりの演技の質やスピード感は違うわけです。そして、本作の音響監督は真面目だったので、高橋さんの演技のスピード感に合わせることを最重要視してくれました。ただ、中野さんには中野さんなりの演技プランもありますから「背中から撮るシーンだから、尺を守らなくていいよね?」、「いや、守ってください」……みたいな形で揉めたというのが真相で。どちらもいいものにしようと頑張ってくれた結果なんですね。
――ああ、そういうことだったんですね。
横山尺などの制限はありつつも、中野さんとしての演技をしっかり入れていただいたので、同じシーンでも印象は本当に違うんですよ。
――具体的にはどのシーンですか?
横山たとえば、京に龍馬がやって来たときに、武市が「これ以上深入りするな」というようなことを言うシーンは、高橋克典さんと中野英雄さんでは、芝居の質感がぜんぜん違うんです。
阪本説得をしているシーンという意味合いでは同じものなんですけれど、受け取る印象はまったく違いますね。
横山『龍が如く』シリーズはいつもすごい役者さんに演じていただいていますが、今回は、とくにキャストの重要性というものを改めて感じさせられました。
――やはり皆さん、演技力がすごいんですね。
横山本当に。新選組の幹部会でも、竹内力さんが入ってくれただけでここまで雰囲気が変わるか、という感じです。
阪本本当にぜんぜん違いますからね。オリジナル版を遊んだ方でも、新鮮な気持ちで遊べるんじゃないかと思います。
横山あとは、足立さん……大塚明夫さんの演じる近藤勇もすごいんですよ。もとは船越英一郎さんが演じていたので、演技のリズムが独特なのですが、なぜそれに合わせて演じられるのか不思議でした。それでいて、大塚明夫さんが演じる足立さんの演技になっているという。これには感動しましたね。
――早く実際のシーンを観てみたいです!
横山誤解してほしくないので念のため伝えておくと、オリジナル版がよくないとかそういうことではないですからね。キャストが変わったことで別モノとしての楽しさがしっかり出た、リメイクとしての醍醐味を味わえる作品になったと思います。
――そこはこれまでの“極”と少し違うところですね。
横山そうですね。『龍が如く 極』は、同じ声優さんに違う演技をしてもらう……言わば過去の自分と戦ってもらうというものでした。今作は『龍が如く 極2』同様、主要キャストの大幅刷新となりますね。
気になるポイントを直撃! 極で変わった部分とは?
――事前に公開された情報では、『龍が如く』に登場した田中シンジやタツ姐は、史実に登場する人物に配役されていました。こういったキャラクターはほかにも存在しますか?
阪本史実に登場する人物に『龍が如く』シリーズのキャラクターを配役して描くサブストーリーは新しくふたつ用意し、5人のキャラクターが登場しています。タツ姐やシンジのほかには、トレーラーにも登場していた『龍が如く3』に出ている神田強もいます。
――おお、楽しみです! 続いて隊士について伺います。オリジナル版の隊士は、本編やPSPのミニゲームなどでお金を稼いでから、いわゆるガチャで募集するという流れでした。それは本作でも変わらないのでしょうか?
阪本隊士のラインアップは増やしたりしていますが、隊士の入手方法に関しては基本的に前作を踏襲しています。ただ、技の効果などは本作のために追加とチューニングを加えていますから、「どの隊士を育てようかな」という形で遊びの幅は広がっていると思います。
――ちなみに隊士の人数はオリジナル版と比べて、どの程度増えているのでしょうか?
阪本オリジナル版に登場した隊士が380人なのですが、本作では隊士能力のチューニング、新キャラクターの追加などを行った結果、約400人となっているので、微増ですね。前作に登場しなかったキャラクターだけで言えば、14人の隊士が追加されています。
横山ニワトリの隊士はオススメですよ。
――すごく強かったりするのですか?
横山強いというより、おもしろいんです。殺伐とした斬り合いをくり広げていても、楽しくなれます。
――あはははは(笑)。隊士を動物で縛ったりするプレイも楽しそうですね。
阪本できますよ! ニワトリ、犬、クマがいますから。
――阪本さんもオススメの隊士がいれば教えてください。
阪本新しく追加した隊士はどれもおもしろいんですね。たとえば、マメ蔵という犬の隊士がいるのですが、それはザコ敵を魅了するんです。敵が「カワイイー!」って動きが止まっているをバッサリ斬れるので、強くもあります。
横山バトルのお役立ち度で言えば、私は品田がいないと戦えないですね。基本的にアクションバトルがあまり得意ではないので、困ったときに品田の効果で周囲の敵の動きを止めないと勝てないバトルもあったりしました(笑)。
阪本品田は確かに強いですよね。あとは『龍7』の主人公だった春日も隊士として出てくるのですが、彼も最強クラスなのでオススメです。
――参考になります! 続いてですが……本作でも短銃の型は強いですか?(笑)
阪本オリジナル版では短銃の型がかなり強く、文明の力で押し切ることができました。ですが、本作では短銃一辺倒でのゴリ押しクリアーは難しいと思います。
横山とくにバトルコンテンツ系では「あれ?」ってなるかもしれません。
――ちなみに、おふたりが考えるオススメの攻略法などがあれば教えていただけますか?
阪本まずは好きなスタイルの能力をどんどん解放していくのがいいと思います。
横山個人的には、一刀の型が強いと思うんですけどね。
阪本攻撃力が高く、防御というかカウンター技が使いやすいので、確かに一刀の型は強いですね。ボス戦ではとくにその傾向が顕著だとは思います。今回はボスも必殺技を使ってくるようになったので、その対策にはいいかもしれないです。
――なるほど、なるほど。
阪本ただ、本作では育てきると乱舞の型もかなり強いんです。開発のなかでも操作がうまいタイプの人間は口を揃えて「乱舞の型は強い!」と言っています。ちなみに格闘の型も回避能力が高く、ヒートアクションを出しやすいという強さがありますね。一概に「今回はコレ!」と言えない育てかたの選択肢が用意されていると思ってください。
――参考にします!
横山あとは、DLCに含まれている激ムズの難易度にも注目してほしいですね。
阪本DLCの『オールイン・ワンパック』または『新選組・満喫こしらえ一式』をお買い求めいただくと、過去最高難易度の“維新”で遊べるようになります。このモードは、すべての敵が恐ろしく強い! なかでも、シリーズで最強の敵として登場する亜門の強さは半端じゃなくて(笑)。武具や隊士を最大まで強化しても勝てるかどうか……という難易度になっているので、強い敵が好きな方はぜひ楽しみにしていただきたいですね。
――クリアー後に試してみたいですね。ところで、クリアー後の“強くてニューゲーム”的なモードもありますか?
阪本もちろん用意しています。なので、周回プレイも楽しんでいただけると思います。ただ、2周目以降でも、隊士を使えるのは五章以降という制限はありますが。
――なるほど。クリアーするごとに難易度を上げて遊ぶ……なんてこともできそうで楽しみです。では、最後に読者の皆さんへのコメントをお願いします。
阪本オリジナル版を遊んだことのない方にとっては、さまざまな調整を加え、マルチプラットフォームになったので、かなり遊びやすくなっていると思います。手に取っていただければハマるゲームだと思いますので、少しでも興味を持たれたなら、まずは体験版で遊んでいただければと思います。また「オリジナル版を遊んだよ」という方にとっても“極”になった本作で新しい発見が得られる作品になっていると思いますので、ぜひ遊んでみてください。
横山おそらく本作は、すごくゲームが好きな人に向いているタイトルだと思うんです。『龍が如く』シリーズは基本的にふだんゲームから離れている人でも遊べるような仕組みにしていて、本作でもそのエッセンスは踏襲しているのですが、ここまでゲーム好きにアプローチした『龍が如く』シリーズは過去ないんじゃないか? というくらい。ここ何年かは「時間がない人でもプレイできるように」というアプローチでゲームを作ってきましたが、本作は「画面に向き合って思いっきりゲームで遊びたい」という人を重視して作りました。だからこそゲーム好きな人に、突き詰めて遊んでほしいです。