2017年7月の前回公演から約半年、ダンディ団が立ち上がる

 2017年7月に開催された“サクラ大戦歌謡ショウより~『花咲く男たち』”。公演名どおり、男性ばかりのキャスト陣ながら、チケットが即完売するほどの盛況ぶりで、多くの『サクラ大戦』ファンが浅草花やしきに集った。あれから半年。今度は“続・花咲く男たち”の開催が決定した。さらに驚くことに、主催のダンディ団が“株式会社ダンディ商会”なる会社まで設立したというので、さっそく話を聞いた。

開催迫る“サクラ大戦歌謡ショウより「続・花咲く男たち」”を支えるダンディ商会とは?_01
ちなみに『サクラ大戦』の設定では、浅草花やしきに“帝国華撃団花やしき支部”があるため、ファンからは聖地とされている。前回公演では『檄!帝国華撃団』などを熱唱し、最後はみんなで敬礼!
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西村陽一氏(西村ヤン太郎役)
園岡新太郎氏(ダンディ・団耕助役)
Velo武田氏(ベロムーチョ武田役)

――最初に『サクラ大戦』や歌謡ショウに対する想いなど、お聞かせください。
園岡新太郎氏(以下、園岡) ゲームの『サクラ大戦2 ~君、死にたもうことなかれ~』が発売された1998年に開催された“ミュージカル「サクラ大戦~花咲く乙女~」”に参加したのが初めてです。このミュージカルは、花組を目指す養成所のような“乙女組”が主役で、“黒いピエロ”という悪役で参加させていただきました。その楽日に、広井(王子)さんから「夏にまた歌謡ショウをやるんだけど……」と聞いて、「出してよ」と言ったのがきっかけで(笑)、その公演(※帝国歌劇団・第2回花組特別公演“「つばさ」”)から参加しています。“帝都”はほとんど参加していますし、“巴里”もちょこちょこと出していただき、“紐育”は途中からダンディ団として出させてもらいました。武ちゃん(※Velo武田さん)は全部出ていますからね。
Velo武田氏(以下、武田) 無理やりですけどね(笑)。
園岡 『サクラ大戦』20周年を記念して、2016年にちーちゃん(※真宮寺さくら役の横山智佐さん)が誕生日イベントをやったのですが、来てくれたお客さんの顔ぶれが“歌謡ショウ”といっしょだったんですよね。覚えている顔ばかりで、しかもみんな喜んでくれて。そのときに「これは続けないと」と思いました。ただ、ちーちゃんは「疲れた……」と言っていたのです。

――イベントの準備など、横山さんがおひとりで全部やられたようですね
園岡 そうなんです。それで、広井さんや螢さん(※金田金四郎役の螢雪次朗さん)なども参加している“オヤジ会”という飲み会があるのですが、ちなみに“ダンディ会”もあるんですよ(笑)。“オヤジ会”の席でそんな話をしたら、だんだんと現実になり、花と咲いていったわけです。
武田 “オヤジ会”は、歌謡ショウがない時期でも年に3~4回は集まって飲んでいて、「何かやりたいね」という話はずっと出ていたんですが、何となくその場だけの話で終わっていました。それが、ちーちゃんのイベントが引き金になって“ダンディ会”で話したんです。あれ、飲み会ばっかりだな(笑)。広井さんに話したら「じゃあ、やれよ」と。
園岡 螢さんや直さん(※マイケル・サニーサイド役の内田直哉さん)も、その話に乗ってくれたし。
武田 おかげで直さんは、前回の“花咲く男たち”の公演であんなキツイ目にあったわけです(笑)。
西村陽一氏(以下、西村) 稽古では、「そこまでがんばらなくてもいいですよ」と言ったんですけどね(笑)。
園岡 そういった経緯があって、前回の公演が実現しました。

――やると決まってから2017年7月の公演まで、あまり時間がなかったのではないですか?
園岡 最終的に決まったのが、2017年5月くらいですね。
西村 そこから、とりあえず劇場だけは押さえないと……という感じで、たまたま花やしき座が空いていたんです。それが公演前の1ヵ月くらいで、そこから台本や稽古やスケジュールはどうしようと。バタバタでした。

――広井さんも台本を書くのがたいへんだったでしょうね。
西村 催促しても、催促してもなかなかでき上がって来ないんですよ(笑)。
武田 広井さんが自分から「俺が書くよ」と言ってくれたので、お願いしたんですけどね。
西村 待てど、暮らせど(笑)。最終的に届いたのは、本番の10日前くらいでした。

――そんな裏事情があったのですか。公演が始まるまではかなり不安だったのではないですか?
武田 まずは、チケットが売れるのかという不安が先でした。花組のメンバーをゲストに呼んではいましたが、そもそも、僕たちおじさんの舞台に来ていただけるのかが不安でした。
園岡 それと、広井さんがいつ台本を完成させるのか、心配でした(笑)。
武田 確かにチケットは発売されているのに、まだ台本が……という状態でしたからね。チケットの売れ行きが好調だったのはうれしかったんですが、「まだ、何も決まっていないのに、どうしよう……」と。そして、チケットが完売したのでもう1回公演を増やそうと、プレビュー公演を追加しました。でも、それもまた不安なんですよ、プレビュー公演は、出演が本当に男だけでしたから。
園岡 花やしき座のサイズで、誰も来なかったらとても恥ずかしいですからね。ただ前回は、花やしき座の舞台をそのまま使わせていただき、3日間ほど稽古ができたので、そのままの感覚で公演に入れました。
西村 ゲストが毎回違うので、その度にリハーサルです。休む暇もなくて、もう勘弁してよ、と(笑)。
園岡 舞台の転換など、裏方の仕事もありますからね。もうヘロヘロでした。
西村 裏方さんのありがたさが、よ~くわかりました。

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――その前回公演ですが、チケットが完売。幕が上がり、満席の会場やお客さんの顔を見たときは、どんな感じでしたか?
園岡 1曲目が3人で歌う『ダンディー』だったのですが、『サクラ大戦』のファンのお客さんは、椅子に深く腰掛けずに、乗り出すようにして見てくれているんです。それを見て、「あー、以前と変わっていないな。待っていてくれたんだな」と感じて、余計一生懸命やらないと、と老体に鞭打ってがんばりました(笑)。
武田 やっぱり反応が違いますよね。
西村 変に緊張していたのが、すぐに解けたというか、一度お客さんの前に出ると、「あー、これだ」と。逆に力をもらえました。一幕は、金田先生(※螢雪次朗さんが演じる金田金四郎。帝国歌劇団の作家)の妄想でしたが、そんなどこかおちゃらけた感じが、なんとも浅草にあっていて、「広井さん、うまいことを考えるなぁ」と感心しました。

――初めて見に来たという方も多かったようですね。
西村 多かったですね。それにはビックリしました。
武田 DVDなのか、人づてなのかわかりませんが、以前から知っていて、初めて見に来てくださったようです。
西村 「これがウワサの『サクラ』の歌謡ショウか」と。いやいや、歌謡ショウじゃなくて“なんちゃってショウ”なんですよ(笑)。
園岡 かつては生オーケストラで、田中公平先生が指揮していましたからね。
武田 キャストが空中を飛び、仕掛けも大がかりになっていきました。
西村 セットも衣装も豪華で、ダンサーもたくさんいて……。“花咲く男たち”では、ひとりもいやしない(笑)。
武田 男しかいない(笑)。
園岡 ダンサーは、ダンディ団しかいなかった(笑)。

――(笑)。プレビュー公演を入れて6回の公演が終わったときは?
園岡 お客さんが喜んでくれましたから、「つぎもやらなきゃ」と思ってはいましたが、こんなに早くやることになるとは思いませんでした。
西村 千秋楽、最後の緞帳が降りてもお客さんがなかなか帰らなかったんですよ。それでもう一度舞台でごあいさつしたときに、すぐにでも公演をやってあげたいという気持ちになりました。でも打ち上げの席では、本当にたいへんだったことを思い出して、みんな「もうやりたくない」と言っていましたよね(笑)。
武田 クタクタになりましたからね。お客さんの喜ぶ顔を思い出して、やっぱり「続けたいな」と思いました。
園岡 会場の席数の都合で、チケットがなかなか取れずに“チケット大戦”になってしまったので、それは残念でした。みんながチケットを買えるギリギリの線と劇場のバランスがとても難しい。広井さんはすぐ「小屋を大きくしよう」と簡単に言いますけどね。個人的には、当分は花やしき座でいいのかなと思っています。

――ステージから演者が降りることも多くて、劇場の一体感がありました。
武田 花やしき座は、客席と近いのでフレンドリーな雰囲気になります。
西村 その一体感やフレンドリーな雰囲気が、かつての“歌謡ショウ”に近かったと思います。
武田 それは広井さんも意識されていた部分だと思います。

――今回はプレビュー公演はやらないのですか? 公演が10回の大台に乗りますよ(笑)。
武田 いやいや、いまのところはやる予定はないです。演者が休む暇がなくなってしまうんですよ(笑)。
園岡 そのぶん、今回は松原剛志君や佐藤浩希君、椿ちゃん(※高村椿役の氷上恭子さん)といった新しいキャストも入ってくれることになりました。スー君(※大神一郎役の陶山章央さん)が出られない日は、椿ちゃんが全部カバーしてくれるんですよ。
武田 舞台の流れはいっしょなのですが、ややこしいというか、ゲストによって歌う歌も変わりますし、そういう部分はちょっとたいへんですね。