PRESS STARTならではの楽曲に加え、サプライズも!

 “PRESS START 2012 -Symphony of Games-”とは、ハードやメーカー、そして時代の新旧を問わず、秀逸なゲーム音楽を生の演奏で共有し合おうという主旨のもと、年に1度のペースで開催されているオーケストラコンサート。2006年からスタートして7年目となるため、ご存知の方も多いだろう。
 ここでは、去る2012年9月23日に渋谷Bunkamura オーチャードホールにて行われた、東京公演(昼夜2回公演)の模様をお届けする。
 なお、PRESS START 2012は、来たる2012年11月10日に名古屋公演(会場:日本特殊陶業市民会館)も控えている。そのため、この記事は名古屋公演を楽しみにしている方にはネタバレになる可能性があるので、その点は十分にご留意を!

▼▼▼▼以下、ネタバレあり▼▼▼▼

【第一部】

・『The Elder Scrolls V: Skyrim(ザ エルダースクロールズ V: スカイリム)
 Main Theme / The Dragonbone Comes

 “竜の血脈を受け継ぐ者”として、太古のドラゴンに立ち向かうという大きな目的がありつつも、基本的にはプレイヤーが自由に遊べるという特徴を持つRPG。『Main Theme』は、ゲームに登場する“竜の言葉”で歌詞が綴られた楽曲。混声合唱が力強くこれを歌い上げ、会場は一気に勇壮な空気で満たされた。続いてボーカリストのドナ・バーク氏が登場し、ゲーム中で流れる『The Dragonbone Comes』を熱唱。
 演奏後、コンサートの企画者である桜井政博氏(ゲームデザイナー)、植松伸夫氏(作曲家)、酒井省吾氏(作曲家)、野島一成氏(シナリオライター)、そしてコンサートの指揮を務める竹本泰蔵氏がステージに登場し、本公演にかける意気込みなどをひと言ずつ語った。

ゲーム音楽のオーケストラコンサート、“PRESS START 2012 -Symphony of Games-”東京公演リポート!_01
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▲左から、司会の鷲野圭子氏、酒井氏、植松氏、桜井氏、野島氏、竹本氏。

・『ファイナルファンタジーXI
 Vana’diel March / Ronfaure / The Republic of Bastok / Sarutabaruta

 2012年でサービス10年目に突入したMMORPG、『ファイナルファンタジーXI』。そのプレイヤーなら身に染み込むほど耳にしている代表曲4曲を、メドレーで演奏。なかでもゲーム内の国家、ウィンダス連邦の近隣に広がるサルタバルタ地方の曲『Sarutabaruta』は、素朴な原曲から一転して壮大な雰囲気のアレンジに。こうしたダイナミックなアレンジが楽しめるのも、本コンサートの楽しみのひとつだ。

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・『ノーラと刻の工房 霧の森の魔女
 刻の工房 / まいにちの暮らし / たたかいの刻

 一人前の導刻術師を目指す少女、ノーラが活躍するファンタジックなRPG。ノーラがかわいく微笑んだり、ときに勇ましく戦ったりする様子が目に浮かぶような楽曲が、3曲続けて演奏された。ゲストとして登場した、作曲家のなるけみちこ氏に対し、酒井氏は「ゲーム音楽界広しと言えども、特徴的な楽曲として“○○節”と言われるのは、“イトケン節”と“なるけ節”しかありません(笑)。なるけさんの楽曲はメロディーが立っていて、1回聴いただけでなるけさんの曲だとわかるような"節"を持っていますが、その秘訣を伺いたい」と質問。なるけさんはこれに、「メロディーだけではなく、イメージを一部歌詞にするなどして、いつもアンサンブルと考えて作曲しています」と答えた。続いて、「このゲームを“積みゲー”にしている方もいると思いますが、すばらしいゲームですので、ぜひ遊んでみてください」と同作をアピールし、挨拶を締めくくった。

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▲なるけ氏を褒めちぎる酒井氏。

・『ダライアス
 MAIN THEMEーCHAOS(バンアレンベルト)/ BOSS SCENE 3 / BOSS SCENE 5 / BOSS SCENE 7

 1986年にリリースされた、往年の横スクロールシューティングゲーム。桜井氏いわく、「80年代のノリノリでポップな音楽は、オーケストラで表現しづらいところがあるので、あえて重厚感溢れる異様な編曲構成を目指した」とのことで、会場の空気が一変。さらに、演奏がボスステージの楽曲に突入すると、舞台上のスクリーンにタツノオトシゴやイカなど、水生生物モチーフにしたボスたちのシルエットがつぎつぎに浮かび上がる演出がなされた。作品のイメージを想起させるこの映像は、桜井氏みずからが作成したとのことだ。夜公演では、作曲者の“OGR”こと小倉久佳氏が登場し、「シューティングゲームのルールを破りたいという気持ちで作曲しました」と、『ダライアス』の音楽に前衛的な試みを取り入れたことについて述べた。また、今回演奏された『MAIN THEMEーCHAOS』については、制作初期についていた仮のタイトルが“ビッグバン”だったため、最初は宇宙誕生の瞬間をイメージして作られていたことも明かした。

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・『逆転裁判
 大いなる復活 ~御剣怜侍 / 成歩堂龍一 ~異議あり! / 追求 ~追いつめられて

 弁護士の成歩堂龍一が証言の"ムジュン"を突き、不利な状況を覆していく法廷アドベンチャーゲーム。作品に対する高い人気と、演奏を望むファンの声が多いこともあり、2008年からの再演となった本作の3曲。作中のクライマックスシーンで流れる『追及 ~追いつめられて』で演奏が締めくくられると、会場からは割れんばかりの拍手が起こっていた。また、昼公演では野島氏が、宝塚歌劇団による「歌と華麗な踊りの『逆転裁判』」(野島氏)を話題に挙げつつ、「改めて今回の演奏を聴いて、手前味噌ですが、この真っすぐさもいいと思いました」と感想を述べた。

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・『ファミコン / 姫を救え!メドレー
 ドンキーコング / チャレンジャー / ドラゴンスピリット / ドラゴンバスター / ゼルダの伝説 / ドルアーガの塔 / 魔界村 / 影の伝説 / スーパーマリオブラザーズ / スーパーマリオブラザーズ2

 PRESS STARTの恒例となっている、企画モノのメドレー楽曲。タイトル通り、“姫を救う”ことをテーマにした作品が全10曲ピックアップされており、捕われたピーチ姫の元にマリオがたどり着いたときに流れる、『スーパーマリオブラザーズ2』のエンディング曲がメドレーのトリを飾った。夜公演ではこれらの楽曲に対して野島氏が、「ファミコン時代のゲームは、敵を倒すとか、ハイスコアを目指すといったシンプルな目的が多かったのですが、そこに“お姫様を救う”というモチーフがひとつ加わることによって、遊びや世界がぐっと広がりました。テレビゲームが文化と呼ばれるようになるきっかけを作った、そのレジェンドたちの楽曲を集めてみました」と、ゲーム制作者ならではの視点でメドレーについて解説した。

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・『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ
 メインテーマ / 彩りの大地 / ホームタウンドミナ / 滅びし煌きの都市 / Song of Mana(Opening)

 1999年にプレイステーションで発売されたアクションRPG。美しいピアノの音色が印象深い『メインテーマ』からスタートし、作曲者の下村陽子氏みずからが選曲した5曲を演奏。ボーカリストのソフィ・ぺルソン氏が『Song of Mana』を歌い上げた。その後、植松氏と下村氏がステージに登場。スクウェア(現:スクウェア・エニックス)時代に上司(植松氏)と部下(下村氏)の関係だったということで、息のあったトークをくり広げた。昼公演では、『聖剣伝説2』の楽曲を担当した菊田裕樹氏が作業部屋のドアを開けっ放しにしていたため、入社したばかりの下村氏が、連日にわたって『聖剣』サウンドを聴くことになったという話や、『聖剣伝説』の1作目の楽曲を担当した伊藤賢治氏、そして2、3作目の楽曲を担当した菊田氏に続いて下村氏が抜擢された際、当時ディレクターの石井浩一氏から、「いいんじゃない? 下村の好きなようにして」と言われ、プレッシャーを感じつつも楽しく作曲したという話が飛び出した。
 また、夜公演では、“植松伸夫のここだけの話“と題し、植松氏が『聖剣伝説』の1作目より前に、ファミコン用ソフトとして開発が進められていた“幻の『聖剣伝説』”について発言。そのために作曲し、同作が陽の目を見なかったためにお蔵入りとなった20曲ほどの楽曲が、いまも植松氏のパソコンのどこかに眠っているとカミングアウトした。「『聖剣伝説0(ゼロ)』ですね!」と驚く下村氏に対して植松氏は、「じつは初代『聖剣伝説』はオレなんだよ?」と返し、ファンからの笑いを誘っていた。

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▲楽しそうに当時を振り返る下村氏と植松氏。

【第二部】

・『ヘラクレスの栄光IV 神々からの贈り物
 オープニング / 地平線の彼方に / 新たなる空 / 魔物たちとの戦い

 休憩を挟んで、第二部がスタート。本作は、1994年にスーパーファミコンで発売された、ギリシャ神話をモチーフにしたRPGだ。いつもであれば、休憩時間が終わるとステージ脇から竹本氏が登場し、颯爽と指揮を始める……という流れになるのだが、なぜかステージ脇から登場したのは、タキシードに身を包んだ酒井氏! しかも、そのまま指揮台に上がり、タクトを振るい始めたではないか! じつは、本作の制作元であるデータイーストは、酒井氏と野島氏の古巣にあたる。酒井氏は本作の作曲者のひとりであり、野島氏はシナリオなどを担当(野島氏は、混声合唱とオーケストラの共演によって披露された『地平線の彼方に』の歌詞も執筆)。そういった縁もあり、酒井氏が指揮を執るという今回のサプライズ企画が実現したのだ。公演後、「緊張して胃が痛かった」と語った酒井氏だったが、そんな弱気はおくびにも出さず、大きなアクションでオーケストラを導いていく。その姿に、会場からは大きな拍手が起こった。大役を果たした酒井氏は、竹本氏と固い握手をかわし、安堵の表情を浮かべながらステージを後にした。

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▲酒井氏の指揮者姿が見られるのはPRESS STARTだけ!?

・『ゼルダの伝説 スカイウォードソード
 女神の詩

 大空と大地を舞台に、さらわれたゼルダを探して冒険がくり広げられる、人気アクションアドベンチャー。作品のメインテーマである『女神の詩』は、ハープの調べが、オーケストラの重厚で広がりのある音色を誘う形で演奏される名曲。指揮者の竹本氏にとっては、ゲーム収録時と、昨年開かれた“ゼルダの伝説 25周年 シンフォニー オーケストラコンサート”で指揮をしているため、縁の深い1曲だ。昼公演ではプロデューサーの青沼英二氏と、作曲者である若井淑氏がふたりそろって登場。若井氏は、「こういうことをバラすのは、イキじゃないんですが……」と前置きしつつ、“『女神の詩』を逆再生すると『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の楽曲、『ゼルダの子守歌』になる”というエピソードを明かした。若井氏が明かす前に気づいたファンも多かったこのトリックだが、当初は「誰も気づかなかったらお墓まで持って行こう」と考えていたため、青沼氏にもナイショにしていたとのこと。そのため、青沼氏はE3(ロサンゼルスで開催される世界最大のゲームの見本市)の会場で海外のメディアからこの件について聞かれた際、「そんな訳がないでしょう。逆再生して曲が成り立つわけがない」と笑いながら否定してしまい、大恥をかいてしまったのだという。これに対して若井氏は、「反対されると思ったので言わなかったんです(笑)」と、気まずそうに当時をふり返った。
 最後に青沼氏は『ゼルダの伝説』シリーズの歴史の長さに触れ、「プロデューサーとして、ふつうの人が考えつかないようなトリッキーなことをやってくれるのは非常にありがたい。次回作ではもっとびっくりするようなことをしてもらいたい」と述べ、若井氏も「何か考えておきます!」と頼もしい返答をしていた。

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▲ファンにメッセージを送る若井氏(左)と青沼氏(右)。

・『新・光神話 パルテナの鏡
 12章空中戦 初期化爆弾の恐怖

 光の女神パルテナの命を受けた天使ピットが、冥府軍を始めとする敵と戦っていく、アクションシューティングゲーム。本年度の演奏の中でも、もっとも企画色が強いのがこの楽曲だ。その内容は、同作のディレクターを務める桜井氏みずからが、ステージ上で12章の空中戦“初期化爆弾の恐怖”をプレイし、それにオーケストラが演奏を合わせるというもの。しかも、ゲームの“ホンキ度(難易度にあたるもの)”は、最高の9.0に設定。かつ、プレイヤーキャラクターであるピットの装備もそこまで強くはないと、あえてハードルを高めてのトライとなった。もちろん、途中でゲームオーバーになり、演奏がそこで終了する可能性もあるが、これは会場のお客さんに、“ライブ感”を存分に味わってほしいという意図があってのことだという。実際にプレイが始まると、きびしい敵の攻撃に、ピットの体力がみるみる少なくなり、かなり手に汗握る展開に。それでも、桜井氏は冷静さを失わず、着々と難関を突破していく。そして、昼夜ともにステージをクリアーすると、腕を高々と上げてガッツポーズ。その姿に、会場からは大きな拍手が起こっていた。なお、昼公演では、桜井氏のプレイヤー名が“かまぼこにんげん”だということが知れわたるというハプニングがあり、これには会場から笑いが漏れた。また、演奏前に竹本氏が「テンポ157! イチ、ニー、イチ、ニー……」と、念入りにテンポを確認するひと幕も見られた。

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▲桜井氏はホンキ度9.0の挑戦に真剣そのもの。

・『イーハトーヴォ物語
 イーハトーヴォ賛歌

 童話作家である宮沢賢治の描く理想郷を題材にした、異色のRPG。19年前に発売されたゲームということもあり、まさに知る人ぞ知る名曲となっているが、じつは植松氏も、この楽曲の美しさに魅了されたファンのひとりだという。作曲者の多和田吏氏をステージに迎え、植松氏が「PRESS STARTを始めたころから、いつかこの曲を取り上げたいと思っていたんですよ。メロディーが胸に刺さりますよね」と語りかけると、多和田氏は「僕は当時、『FF』のメロディーにやられてましたよ」と笑顔で返していた。また、植松氏から当時の制作状況について聞かれると、「空気や緑のキレイなところでこの曲を作った……というのは作り話で(笑)。都心のど真ん中で、ビルに囲まれてアップアップしながら作っていました。心の底から理想郷を渇望していたから、こういう曲が生まれたのかなと思っています」と、当時の苦労を振り返った。

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▲多和田氏と植松氏が和やかに語り合う。

・『朧村正
 メインテーマ

 百姫と鬼助というふたりの主人公が、妖刀を巡り、魑魅魍魎が巣食う元禄の世界を冒険するアクションRPG。PRESS STARTは、オーケストラでの演奏に加え、和楽器やエレキギターなど、多彩な音色を融合させることでもファンを堪能させているが、2010年からの再演となる『朧村正』は、まさにそうした1曲だ。オーケストラに津軽三味線と尺八、ギターを加えた重厚かつ迫力あるアレンジは、聴衆を『朧村正』ワールドに引き込んでいた。その力強い演奏に、会場から惜しみない拍手が送られた。

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・『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動
 GRAVITY DAZE/重力的眩暈 / オルドノワ / 反抗と殲滅

 記憶を失った少女・キトゥンが、不思議な黒猫との出会いを経て“重力使い”となり、街と自分の謎を解明するために空間を飛び回るアクションゲーム。本作の作曲を手掛けたのは、『サクラ大戦』シリーズやアニメ『ONE PIECE』を始め、数々のヒット作を担当する田中公平氏だ。原曲自体が生演奏や打ち込みなど、多彩なサウンドやリズム、テクニックを織り交ぜて、かなり聴き応えのある豪華な仕上がりとなっているが、これをPRESS START風にアレンジ。爽快感や浮遊感がそこかしこに溢れ、キトゥンのチャーミングな色気さえ感じる演奏に、会場全体が聴き惚れていた。

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・『GOD EATER(ゴッドイーター)
 神と人と Vocal Ver.

 “アラガミ”と呼ばれる巨大なモンスターたちを相手に、敵を喰らう武器“神機”で戦う主人公たちの物語が描かれるアクションゲーム。ドナ・バーク氏がお色直しをして登場し、圧倒的な声量でファンの心を掴んだ。なお、昼公演にて作曲者の椎名豪氏が登場した際、酒井氏は椎名氏の私物だという本楽曲の楽譜を取り出した。ヨレヨレの表紙からは、かなり読み込まれていることが伝わってくるほどで、これに対して椎名氏は、「宮野幸子さんに編曲をお願いするのが夢でしたが、それが叶いました。アレンジがとてもよくて、読み込もうかなと」と、同曲のオーケストラアレンジを担当した、宮野氏への感謝を口にしていた。

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▲椎名氏を囲んで酒井氏、野島氏が語らう。

【アンコール】

・『ファイナルファンタジーXI』
 FFXI Opening Theme

 いったんはステージ外に退出した竹本氏が再び指揮台に登壇すると、会場からは割れんばかりの拍手が巻き起こる。そんな中で流れたのは、『ファイナルファンタジー』シリーズのメインテーマである『プレリュード』。『プレリュード』の音階が、通常のものと一部違うところでわかったファンもいたようだが、これは『FFXI』バージョンのものだ。楽曲はそのまま、本作のオープニングムービーと同じ流れで進んでいく。とくに終盤は、『石の記憶』のエスペラント語で綴られた歌詞を、混声合唱がおごそかに歌い、会場をヴァナ・ディールの世界へと引き込んでいた。

ゲーム音楽のオーケストラコンサート、“PRESS START 2012 -Symphony of Games-”東京公演リポート!_21

・『カービィのエアライド
 チェックナイト / サンドーラ / 伝説のエアライドマシン

 アンコール2タイトル目は、2003年発売のアクションレースゲーム、『カービィのエアライド』。多彩なコースで流れる楽曲が全3曲メドレー形式で演奏され、その軽快で爽快感溢れるメロディーと、PRESS STARTだけで味わえる豪華なオーケストラアレンジ&コーラスに、会場の『カービィ』ファンが歓喜していた。演奏終了後は、出演陣がステージに勢揃いし、ファンに一礼。さらに、「本日はありがとうございました!」と感謝を述べ、歓声の溢れる公演を締めくくった。

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