ここ2週間、ネット上では1年分くらいの量なんじゃないかってくらい「牛角」の文字が飛び交ってます。
牛角でなにかイベントが!? NO。

牛角で何か事件が!? NO。
では何かって言うと、アニメ「タイガー&バニー」のキャラクターの一人に、牛角の広告が貼られているから話題になっているんです。

例えばF1って、色々なスポンサーがついてマシンにステッカー貼られるじゃないですか。
それと同じ。キャラクタープレイスメントをヒーローでやろうという、斬新すぎるというか、やろうと思っても踏み切れないところを飛び出したのが「タイガー&バニー」というアニメ。現時点で8名ヒーローがでていますが、それぞれに複数のスポンサーが付いていて、胸とか頭とか腕とかにロゴが入るんですよ。

しかも作中の架空の会社じゃないです。現実のスポンサーなんですよ。
PLACEMENT|TIGER & BUNNY(タイガー&バニー)
上記リンク先で現在のスポンサー一覧が見られます。まあ放送しているUSTREAMやBANDAIはわかるとして、ソフトバンク、FMV、カルビー、ペプシ、そして牛角。これは……目立つ!

そもそもアニメファンって録画するときにCMや提供カットしちゃったりすること多いですから、大金を払っていてもコマーシャルとして機能しきれていないことがあるんですよ。提供が流れるシーンは最近はネタ画像などをいれて注目させるような工夫もされていましたが、「この作品はどこが提供しているか」なんて視聴者にはどうでもいいことだったんです。

しかしこのスタイルだと否が応でも提供絶対気になるよね! だってアニメファン、キャラのディティールとか調べるの大好きですもん。しかもデザインをしているのは、「ウイングマン」「ZETMAN」などで有名な桂正和。そりゃあ注目もするってもんです。胸や腕に入る「SoftBank」「Calbee」「USTREAM」などの文字。いやでも印象に残ります。
一番インパクト絶大なのが「牛角」だったってわけです。
だってさー、頭に角はえて、肩からドリル出ていて、デカデカと「牛角」て! 本当はロックバイソンという名前があるんですが、ネット上ではこぞって「牛角さん」と呼ぶようになりました。出番は多くないんですが、twitterや2chの実況では牛角さんが出てくると「牛角さんでた!」と大盛り上がり。これ「牛角」の宣伝効果抜群すぎじゃないですか。

近々、アマゾンも参戦します。
第6話より、プレイスメントにAmazon.co.jpが参入! TIGER&BUNNY(タイガー&バニー)
しかもメインヒーローの一人であるバーナビーの右腕! 右腕はパンチするからいっぱい映るね!
特に気合が入っているのはペプシ。特に目立つ美少女高校生ヒロインにプレイスメントをとった上に、キャラクターとのタイアップCMまで制作しました。

タイガー&バニー ブルーローズCMページ
すっかりペプシのマスコットガールです。頭に、腕に、ふくらはぎに「Pepsi NEX」。実際CMが放送されたとき「これ本編?宣伝?」とみんな困惑。
そうなんです。コマーシャルの形態において、二次元と三次元の壁超えちゃったんです。

「ヒーローにキャラクタープレイスメントをつける」という案は非常に面白いんですが、普通はできないですよ。
例えば仮面ライダーとかプリキュアの腕や背中に広告入っていたら、さすがにヒく人もいると思うんです。世界のために戦うヒーロー・ヒロインがスポンサー付きってのはちょっと……と。お金のためじゃなくて正義の為に戦ってよと。
実はまさにそこが作品のテーマにつながるんです。実際作中でも彼ら8人のヒーローにはスポンサーが付いているんです。お金絡みのヒーローという「お仕事」。

例えば強盗などの事件が起きた場合、ヒーローが出動します。そうすると番組開始。みんなが「ヒーローが悪人を逮捕するエンタテイメント」として犯罪を視聴するんです。
犯人を逮捕したり、人の命を救ったりと活躍をしたら非常に目立つため、スポンサー大喜びな上にヒーローポイントが加算。最終的に全員の活躍を数値化して「どのくらいかっこよかったか」の点数で、事件解決に至るまでの活躍を集計して順位が決まります。もちろん「上位になる=いっぱいテレビに映る」ので、スポンサー大喜び、って仕組みです。
極めてメタ的なヒーローの見方なんです。ヒーローって呼んでいいの? 犯罪解決がエンタテイメント化しているのも奇妙ですし、お金がからんでいかに宣伝するかをヒーローたちが画策しているのも生々しいじゃあないですか。壊したらその代金も請求されるんです。世知辛い。
でもそうよね、お仕事としてのヒーローならお金は大事な問題ですよ。だからこそ、キャラクタープレイスメントのロゴが生きてくるんです。彼らはヒーローとしての信念も持ちつつ、大人としてお仕事しているんだよと。

ヒーローはかっこいい! というのは当たり前だから、じゃあ商売にしたらどうなるの?というIFを描いた非常に斜め視線な作品です。
いやあ、大人の見たヒーロー像ってこうなるよなー。
でもさ、お金だけのために戦うわけじゃないよね。なんでヒーローなんて危険な仕事しているの?ってなるじゃん。
見どころはそこ! メタ視線でヒーローを一刀両断しながらも、王道ヒーローはどこから生まれるかを見直す試みなのですよ。
新しいコマーシャルの形式としてみても、「ヒーロー」像の解釈の解答として見ても面白いので全力でオススメしたいところです。
本作が売れて、キャラクタープレイスメント色々な形でメジャーにならないですかねー。
まあロゴは難しくても、海外ドラマみたいに毎回欠かさずペプシを飲んでるアニメヒロインとか面白いと思うんですがー。どうっすか?(たまごまご)