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【石川】タクシー 相次ぐ休廃業 奥能登3市町の「足」傷深く

2024年2月28日 05時05分 (2月28日 11時11分更新)
「このままでは立ちゆかない」と話す下沢芳明社長=石川県輪島市門前町舘の鳳南タクシーで

「このままでは立ちゆかない」と話す下沢芳明社長=石川県輪島市門前町舘の鳳南タクシーで

  • 「このままでは立ちゆかない」と話す下沢芳明社長=石川県輪島市門前町舘の鳳南タクシーで
  • 地震で倒壊した港タクシーの事務所。現在は休業している=石川県輪島市河井町で

利用者、事業者とも避難 響く

 能登半島地震で被災した石川県輪島、珠洲、能登の3市町で、タクシー業者が休廃業する動きが相次いでいる。北陸信越運輸局石川運輸支局と同県タクシー協会によると、26日時点で3市町が拠点の11社のうち1社が廃業し、7社が休業している。利用者だけでなく、事業者側も経営者や運転手が避難し、サービスの提供が困難なためだ。被災からの復旧が遅れ、事業を続けている業者からも先行きに不安の声が漏れる。(佐久間博康)
 3市町のうち、輪島市が最も影響が大きく7社のうち、1社が廃業、5社が休業している。同市南志見地区が拠点のナジミタクシーは9日、石川運輸支局に休業を申請。地区は国道249号が土砂崩れで寸断され、集落の住民を丸ごと移動させる「集団避難」が行われた。角明彦社長も現在、金沢市に避難し「道路が復旧するめどがたたず、地元はからっぽで仕事がない。道路も住民も元に戻らなければ、廃業するしかないだろう」と語る。
 輪島市中心部の河井町地区が拠点の港タクシーも事務所が倒壊し、事業が継続できなくなり、13日に休業を申請した。樋田栄作社長は「今は先が見えないが、住民が戻ってきたら昔のように地元のためにも再開したい」と述べる。
 市内で唯一営業を続ける門前地区が拠点の鳳南タクシーは、売上高が地震前と比べ8割ほど減っている。タクシーに加え、葬儀・スクールバス関連の仕事も打撃を受けているためだ。
 下沢芳明社長は「市内に仮設住宅ができて生活が安定すれば、自宅を見に行ったり、片付けをしたりするためにタクシーを利用する人も出てくるだろう。でも、自宅に戻りたくても、戻れない人がまだ多い。このままでは立ちゆかなくなる」と懸念を示す。
 珠洲市、能登町とも2社のうち1社が休業している。石川県タクシー協会の宮崎芳信専務理事は「利用者も事業者側も、地元にいられないため、手の打ちようがない」と嘆く。

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