空振り率33%はあの千賀・山本超え…中日・高橋宏の“未完の魔球”スプリット 体力培い精度向上で見える『侍J』
2022年8月26日 10時06分
◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇25日 巨人2-1中日(東京ドーム)
敗因はいつものように「満塁止まり」の打線にある。犠飛で連続イニング無失点が止まり、セーフティースクイズ(記録は安打)で決勝点を奪われたが、高橋宏は誰が見てもよく投げた。
彼の飛躍を支えているのは最速158キロのストレートだが、打者が手を焼いているのはスプリットだ。この日は何と41球。投球数が116だから、実に35%強を占めている。打者は25回振り、空振りが9。シーズン全体でも空振り率は33%を記録している。この数値のすさまじさを知るために、同じ球種を操る金メダリストと比較する。ソフトバンク・千賀で32%、オリックス・山本は22%なのだ。つまり、高橋宏のスプリットは「お化けクラス」ということになる。打者の反応を見る限り「消えて」いる。
ただし、完成品の2人に対して、高橋宏は未完の魔球でもある。劣っているのは精度だろう。球種別の被打率を3人で比べると、断トツは9分4厘(96打数9安打)の千賀だ。山本(166打数28安打、1割6分9厘)と高橋宏(137打数23安打、1割6分8厘)はほぼ同じで、高卒2年目としては異次元の強みなのは間違いない。しかし、2人の先輩はこの球種を本塁打されたことはないが、高橋宏は2本(西武・山川、巨人・大城)打たれている。もちろん彼のキャリアを考えれば課題はあって当然。立浪監督も報われぬ116球をねぎらった。
「最後へばってましたけど、2点取られるのは悪いことでも何でもない。今年は(間隔を)空けながらやりますよ」
球数が増えると、スプリットの精度も落ちる。打順が2巡目に入ってからは空振りが目に見えて減った。4回の中田の先制犠飛、勝ち越された5回も、ポランコの二塁打、戸郷のバント安打はすべてスプリットを当てられた。2年上の戸郷は、8イニングを抑えきった。投げる体力を培って、令和の魔球を完成させた時。高橋宏はきっと日の丸を背負っている。
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