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68億円で譲渡 石川県と合意 金沢−福井県境の並行在来線

2022年8月18日 05時05分 (8月18日 09時47分更新)
会談後に取材に応じたJR西日本の長谷川一明社長(左)と馳浩知事=17日、石川県庁で

会談後に取材に応じたJR西日本の長谷川一明社長(左)と馳浩知事=17日、石川県庁で

  • 会談後に取材に応じたJR西日本の長谷川一明社長(左)と馳浩知事=17日、石川県庁で

JR西、新幹線延伸控え

 二〇二四年春の北陸新幹線敦賀開業でJRから地元のIRいしかわ鉄道(金沢市)に経営分離する並行在来線について、石川県とJR西日本が十七日、資産の譲渡額を約六十八億円とすることで基本合意した。今後、国が交付税で財政支援するほか、JR西が譲渡後十年間の人件費などを負担する。その結果、県の財政負担は実質ゼロという。
 馳浩知事とJR西の長谷川一明社長が県庁で会談し、合意した。
 譲渡額の内訳は、金沢以西から大聖寺駅までの駅舎や土地、レールなどの鉄道資産が五十八億円、一編成二両の521系十六編成と除雪車一台が十億円。JR西が示した資産全体の想定簿価は計九十四億円だが、特急列車の廃止で不要となる長大ホームや乙丸車両基地(金沢市)の一部撤去費などで二十六億円が減る。
 県は国の地域鉄道対策事業債を活用してIRの取得を補助し、三十一億円を交付税でまかなう。譲渡資産には金沢駅高架下用地も含まれ、金沢百番街の土地賃料など関連会社からの事業収入も十年間で三十四億円程度見込む。
 JR西は譲渡してから十年間、運転士や管理職ら百八十人の職員を派遣し、人件費として三十七億円を支援するほか、レールの交換など設備の事前修繕費十二億円も負担する。
 馳知事は会談後の取材に「満額回答で感謝している」と強調。小松駅と加賀温泉駅の利便性向上のため、速達タイプ「かがやき」の停車なども求めた。長谷川社長は「北陸がより近くなったと感じてもらえるようなダイヤ編成を検討していきたい」と述べた。
 並行在来線の対象区間は未開通区間の五一・五キロを含む七二・一キロで、IRいしかわが運営。譲渡時期は開業直前を予定し、詳細を詰める。(河野晴気、写真も)

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