＜コラム＞BABYMETALの新たな伝説と化した【LEGEND - MM】の特筆すべきポイント | Special

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＜コラム＞BABYMETALの新たな伝説と化した【LEGEND - MM】の特筆すべきポイント

BABYMETAL

インタビューバナー

Text: 柴那典
Photo: Taku Fujii / Takeshi Yao

　道なき道を突き進み、数々の伝説を打ち立ててきたBABYMETAL。そのライブには他のアーティストとは違う特異な魅力がある。単にステージの上で繰り広げられるパフォーマンスだけでなく、その裏側にあるコンセプトや重厚な物語性を感じさせてくれるところにユニークなポイントがある。

　特に2024年3月2日、3日に神奈川・横浜アリーナにて開催されたワンマンライブ【BABYMETAL WORLD TOUR 2023 - 2024 LEGEND - MM】はそういう場だった。

　もちろん、SU-METALの伸びやかで力強い歌声、MOAMETALとMOMOMETALも含めた3人のダンスパフォーマンスの切れ味は素晴らしい。神バンドによる演奏も迫力たっぷりだ。ただ、それだけでなく、映像や大掛かりなステージセット、観客全員に配られた“神器”などの大掛かりな演出によって、会場全体がひとつの「非日常空間」となっていたことも興奮と感動を生み出していた。

　この記事ではそのあたりのことを紐解きたい。

Photo by Takeshi Yao

　まず触れるべきは、2日間のライブがBABYMETALにとって久々となる日本凱旋の場だったということだ。2023年4月にSU-METAL、MOAMETAL、MOMOMETALの3人で新体制での活動をスタートさせたBABYMETALは、そこから世界25か国を巡る大々的なワールドツアーを敢行してきた。アジア、オーストラリア、北米、ヨーロッパ＆UKと巡ってきたツアーは国内外で通算94公演。アメリカの野外ロックフェス【Aftershock】など数々のフェスティバルにも出演を果たした。フェスやゲストアクト出演を除くヘッドラインツアーの総動員数は24万人超。10年以上の海外での活動の中でもBABYMETAL史上最大規模のワールドツアーとなった。

　2023年には【SUMMER SONIC】やブリング・ミー・ザ・ホライズン主催の【NEX_FEST】への出演はあったが、【LEGEND - MM】は、ワンマンライブとしてはキツネ様によって召喚された新生BABYMETALのお披露目となった2023年4月の【BABYMETAL BEGINS - THE OTHER ONE -】以来の日本での公演となる。世界中で熱狂を生み出し偉業を成し遂げてきた今のBABYMETALの姿と実力を見せつける場となった。

Photo by Taku Fujii

　そして大きなポイントは、【LEGEND - MM】が21歳の誕生日を迎えたMOMOMETALの「聖誕祭」を祝う2日間の儀式というコンセプトで行われたライブだった、ということだ。20歳最後の夜である3月2日を「20 NIGHT」、誕生日当日の3日を「21 NIGHT」と銘打ち、それぞれセットリストと演出が異なるステージが繰り広げられた。

　BABYMETALの歴史を振り返っても、この「聖誕祭」というコンセプトはたびたびメモリアルな体験に結実している。そのつどオーディエンスに“神器”が配られ、ライブに儀式としての特別な意味合いが付与されてきた。たとえば2017年12月、SU-METALが20歳の誕生日を迎えることを記念してSU-METALの故郷である広島で開催された【LEGEND - S - 洗礼の儀 -】。オーディエンスは“三種の神器”と呼ばれるマスク・ケープ・ネックレスを身につけ、キツネの石像や祭壇を配したステージで異次元の儀式のようなライブとなった。また2019年7月に名古屋で開催された【BABYMETAL ARISES - BEYOND THE MOON - LEGEND - M -】は、20歳の誕生日を迎えたMOAMETALの「聖誕祭」として行われたライブ。このときもオーディエンスは“神器”を身につけ、MOAMETALがメインボーカルの楽曲を披露するなど普段のライブとは違うスペシャルな演出が繰り広げられた。

Photo by Takeshi Yao

　そして【LEGEND - MM】では、観客全員にLEDライトを内蔵したリストバンド型の“神器”が配られた。バンド部分に「MM」をかたどった模様があしらわれていることも見逃せない。ライブの終盤ではスタンドとアリーナを埋め尽くしたオーディエンスの腕でこの“神器”が桃色に光り、さらにステージ天井からMOMOMETALがゴンドラでゆっくりと降りてきて登場するという度肝を抜くような演出も見られた。

Photo by Takeshi Yao

　「20 NIGHT」ではMOMOMETALがSU-METALからマイクを手渡され、〈20の夜を忘れはしない〉と歌詞を変えた「ヘドバンギャー！！」のスペシャルバージョンを披露。「21 NIGHT」では、SU-METALとMOAMETALを左右に従えたMOMOMETALが「META！メタ太郎」を朗々と歌い上げた。デスヴォイスの力強いシャウトとキュートな歌声を併せ持つMOMOMETALのヴォーカルには、BABYMETALの新境地を感じさせてくれるような新鮮な印象もあった。

　BABYMETALは3月23日と24日に沖縄・沖縄コンベンションセンター展示棟にてワールドツアーのファイナル公演【BABYMETAL WORLD TOUR 2023 - 2024 TOUR FINAL IN JAPAN LEGEND - 43】を開催。ワールドツアーはこれにて終了となるが、BABYMETALの歩みは2024年も止まることはなさそうだ。5月25日と26日には自身が主催するフェス【FOX_FEST】を埼玉・さいたまスーパーアリーナにて開催することが発表されている。さらに「FOX DAY」と呼ばれる4月1日には新たな“お告げ”がもたらされることも期待される。目が離せない日々が続きそうだ。