現在位置:
  1. asahi.com
  2. 2009政権交代
  3. ニュース
  4. 記事

特例会見に党内外から批判 「政治利用」「要請強硬」

2009年12月15日1時29分

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

 訪日中の中国の習近平(シー・チンピン)国家副主席と天皇陛下の会見が15日、鳩山内閣の強い要請で行われることについて、野党だけでなく、政権内からも疑問の声が上がっている。だが、鳩山由紀夫首相や民主党の小沢一郎幹事長は「天皇の政治利用」を否定。逆に、内閣の要請に公然と反旗を翻した宮内庁への批判を強めている。

 自民党からは、天皇との会見は遅くとも1カ月前に申し入れるという慣例を根拠に、いったんは中国側に断った会見が復活したことへの批判が一斉に上がった。自民党は14日急きょ外交部会を開き、外務省や宮内庁の官僚から事情を聴いた。

 石破茂政調会長は「大事じゃない国はルール通りだが、大事な国はひっくり返して会見するのは政治判断だ。そういうことをしていいのか」と批判。また小野寺五典部会長も「(皇室外交が)政治に使われるのは前代未聞だ」と述べた。

 また、同党の谷垣禎一総裁は同日、大阪市内の講演で「政治と天皇の関係は極めてデリケートなものだ。もう一度この政権に、権力の自制と天皇と政治との関係に、よくよく慎重な対応を求めたい」と語った。同日発表した総裁談話では小沢氏の訪中団に触れ、「鳩山政権の強硬な会見要請の裏に、小沢幹事長の権威を顕示する目的があったとすれば、許し難い暴挙だ」と批判。小沢氏がソウルで来年の天皇訪韓について「歓迎してくださるなら結構なことだ」と述べたことについても「政治利用にほかならない」と指摘した。

 安倍晋三元首相が会長を務める「真・保守政策研究会」や平沼赳夫元経産相が会長の「日本会議国会議員懇談会」、「神道政治連盟国会議員懇談会」も15日の会見を中止すべきだとする抗議文を出し、保守派の結束を示した。

 政権内にも対応を疑問視する意見がある。福山哲郎外務副大臣は14日の定例会見で「宮内庁の意向や陛下の健康状態もあるようなので、『今回だけは例外』という対応にした方がいい」と語った。

 また、渡辺周総務副大臣は13日、テレビ朝日の番組で「今からでも(会見を)やめられるのであれば、やめた方がいい。天皇陛下にこういう形で要請したことには、党内でもかなり遺憾の思いがある」と述べた。

 一方、鳩山首相は14日夕、「(中国は)世界で一番人口の多い国で、隣国だ。そういう国との付き合いが非常に大事だ。政治利用という判断ではなく、そう感じている」と述べ、問題はなかったとの認識だ。中国訪問中の山岡賢次国対委員長は上海市内で記者団に「(宮内庁長官が)官房長官とのやりとりを記者に発表すること自体が異常なことだ。役人がすべてを取り仕切っているんだという、あしき慣習が残っているのは残念だ」と、矛先を宮内庁に向けた。

 さらに「政治利用というよりも、本当の親善という意味では非常に良かったのではないか。もしも会えなければ中国の皆さんの感情は非常に傷つけられたのではないか」と指摘した。

 首相周辺も「宮内庁も一省庁。『二度とこういうことは困ります』と長官が会見することはどうなのか。『今まではこういうやり方でやってきたが、新政権はどういう方針で行きますか』となるべきだ」と述べた。

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内