中国・上海の一等地に、芸術家たちが集まる梁山泊が生まれた。「SWATCH ART PEACE HOTEL」。スイスの時計メーカー・スウォッチグループが11月初め、1900年代に創立された名門ホテル「和平飯店」の南館を改装し、世界各国から招いたアーティストの創作拠点をつくった。(アサヒ・コム編集部 諸永裕司)
SWATCH ART PEACE HOTELのフォトギャラリーホテルは「外灘(バンド)」と呼ばれる黄浦江西岸にあり、外国人居留地(租界)時代から上海の中心地で、いまも高級店が立ち並ぶ一角に建つ。英国ルネサンス様式の建物の内装を一新し、芸術家の創作ギャラリーと居住用の部屋のほか、共同のキッチンやダイニングなども設けた。スウォッチグループが選んだアーティスト18人が3カ月から半年ほど滞在して創作に打ち込む。
そのひとり、米テキサス州出身のキャサリン・ゴーマートさんは「ほかのアーティストたちと交流できるので刺激になる」と言い、互いに作品を批評しあえる環境が気に入っているという。すでに、ドイツ、オランダ、ベルギーなどのアーティストが活動している。来年2月からは、ベルリン在住の日本人、ロッカクアヤコさんも加わる予定だ。少女をモチーフに鮮やかな色彩で描くアクリル画が評価され、欧州などで活躍しているロッカクさんはオープングに合わせて来訪。「エネルギーの満ちた上海という街に身を置くことで、イマジネーションがどんなふうにふくらんでいくのかが楽しみです」と話した。
オープニングセレモニーでは、スウォッチグループCEOのニック・ハイエク氏が、
「世界最大の消費地ともいえる上海に、決して消費されることのない『本質』を創造する場が生まれたというのは、とてもぜいたくなこと」
と話し、芸術家たちの支援を約束した。また、この「ART HOTEL」構想は、歴史的遺産でもあるホテルを初めて見たときに「建物のほうから語りかけてきた」ことで生まれた、と明かした。
はたして、時を超える作品が生まれるだろうか。
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