デビュー曲「あなたにあげる」がヒットした歌手・西川峰子改め仁支川峰子(53)。女優としても「極道の妻たち」(東映)をはじめ五社英雄監督作品の「吉原炎上」「肉体の門」(ともに東映)などに出演。一家言持つ仁支川が昨今の女優たちにモノ申す。
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――仁支川さんといえば、歌手のイメージも強いですけど、映画では多くの大作に出演されていますよね。
「五社英雄監督に使っていただいて、ずいぶん勉強になりました。あの監督さん、リハーサルをあまりしないんです。テストを1回して、すぐ本番。私、何度もリハをするとダメなタイプなので、とてもやりやすかったですね」
――もともとは女優志望だったとか?
「15歳の頃、『全日本歌謡コンテスト』で優勝して歌手デビューしたんですけど本当は女優志望だったの」
――知りませんでした。
「歌手として紅白歌合戦に4年連続出場できてとてもラッキーだったけど、20代の頃、突然声が出なくなってしまって、それで女優に転向しました」
――「桃太郎侍」(日本テレビ系)あたりが、最初ですか?
「そうです。あのドラマはアドリブ合戦で、とても楽しかった思い出があります」
――女優として、いちばん大切にしていることは何ですか?
「その役になりきること。いい台本はセリフとト書きを読んだだけで役柄がきっちり書き込まれている。自分がその人だったら、どんな気持ちで演じるかな、と考えながら自分を役に近づけていく。どれだけその役に近づけたかが、私の場合、全てです」
――出会った中では、本物の女優さんは誰ですか?
「映画の世界でこの人凄いなと最初思ったのは、やっぱり岩下志麻さん。『極妻』で共演もさせていただきましたが、岩下さんのお芝居を見て、『うぁ~かっこいいな』と思った。さりげないしぐさの中にピリピリする緊張感を漂わせている。芝居をしていない時の岩下さんはとてももの静かなのですが、いざ『ヨーイ!』と声がかかるとスイッチが入ってオーラ全開。できる女優さんて皆、本番でスイッチが入るんです」
――岩下さん主演の「極妻」は大ヒットしてシリーズ化されました。
「後半、威厳を出そうとしていつも低いトーンで話していましたが、私はここ一番、ドスの利いた声でタンカをきる第1作のほうがシビレました」
――舞台も蜷川幸雄さんや石井ふく子さん演出作品で大御所と競演されています。
「浜木綿子さんには女優としての、また違った一面を教わりました。役になりきるのはもちろんのこと、役になりきりながら全体を見渡している。舞台は映画やドラマのように、もう一度演じるわけにはいきませんから、全体に目を配る広い視野も必要なんです」
――今回アンケート第1位に選ばれた夏目雅子さんとも共演されていますよね。
「ええ。雅子ちゃんは本番まではサッパリして男っぽいタイプだけど、本番の声がかかるとパンとスイッチが入って、役に入り込むステキな女優さんでしたね」
――若手で注目されている女優さんは誰かいますか?
「ドラマ『JIN-仁- 』(TBS系)で、花魁役を演じていた中谷美紀さん。芝居がうまいと思いましたね。彼女のようにスッと役に入っていく女優さんが相手だと芝居がしやすいんです」
――他に気になる女優さんはいますか?
「大竹しのぶさんと風吹ジュンさんですね。大竹さんほど役に入りきれる女優さんを見たことがありません。亡くなられた太地喜和子さんも凄まじかったけど、現役では大竹しのぶさんがダントツじゃないかと思う。一方、風吹ジュンさんは何ていうかナチュラル派。お芝居をお芝居に見せない自然な感じがすばらしいと思いますね」
――仁支川さんにとって、本物の女優さんとは、やはり演技力ですか?
「お芝居は、表現ができないと伝わらないでしょう。女優はルックスじゃない、やっぱり演技力で勝負!」
――そういう意味で、この女優さんちょっと違うな、と思ってしまう女優さんはいますか?
「深田恭子ちゃんかな。お遊戯みたいで見ていられない。何でこんなに下手なのに芝居ばかりやっているのって思っちゃう。あと、藤原紀香さんもちょっと‥‥。ナイスボディなだけよね。ドラマの場合、スポンサー の問題もあると思うけど、お芝居がちゃんとできないと結局、視聴率も獲れないと思う、違う?」
――最後になりましたが、仁支川さんにとって「女優力」とは?
「死ぬまで演じるために必要な力、それが『女優力』だと思う」
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