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中堅出版社百十一社で構成する出版梓会(江草忠敬理事長)は、第十六回「梓会出版文化賞」を明石書店、「同特別賞」を法藏館に決定、一月十八日午後六時から東京・神楽坂の日本出版クラブ会館で贈呈式を行った。
この賞は優れた書籍出版を行い、我が国の出版文化に貢献している出版社の中から毎年一社を選び、その業績を顕彰するもの。
原則として年間五点以上の書籍を刊行し、十年以上にわたり継続して出版活動を行っている中小出版社が対象。
各出版社の自薦による図書をもとに選考委員会で決定する。
贈呈式の席上、江草理事長は「今回の出版文化賞は久しぶりに会員社の中から選ばれた。
大変励みになり、うれしいこと。
出版業界は厳しい環境が叫ばれ続け、再販の結論を控えるなどいろいろな課題があるが、梓会は少しでも会員のお手伝いができるよう、ニーズに応える研修会と委員会活動を行っていきたい」とあいさつ。
明石書店に記念品と副賞五十万円、法藏館に記念品を贈呈した。
選考委員を代表して植田康夫氏は、明石書店について「差別、障害者、在日韓国・朝鮮人問題など重い課題に挑戦し、貴重な本を刊行してきた。
人権問題に対する真摯な取り組み姿勢を高く評価した。
出版の困難な時代に一つのポリシーを打ち出し、立派な業績を上げられたことは、学ぶべき出版態度と思う」、また法藏館について「仏教書を軸に宗教、哲学、歴史、芸術などの学術書から、心や文化の問題を扱った一般書まで意欲的な出版活動を行っており、その業績を大いに称えようということになった」と選考結果を報告した。
明石書店の石井昭男社長は「当社の書籍と出版姿勢に高い評価をいただき光栄に思う。
差別を無くす社会に活字メディアは重要。
破壊なき文明を作り人権を尊重する時代に向けて、より高い人権の著書を社会に送り出したい」、法藏館の西村七兵衛社長は「社長になって三十年、初代の没後百年と大きな節目の年に立派な賞を頂戴してうれしい。
一冊一冊の本を大切に作り上げることの重みをつくづく感じている。
受賞を機に一層頑張りたい」と、それぞれ受賞の喜びを語った。
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