大臣会見概要

平成24年12月25日(10時50分~11時16分)

1 発表事項

 私の方から今日は冒頭に、本日の閣議において、12月25日付で折木前統幕長、現在の防衛大臣補佐官を免ずることについて、内閣の承認が得られました。ご承知のとおり、折木防衛大臣補佐官は、統幕長など要職を歴任された後、大臣補佐官として勤務をしていただいている傍ら、首都直下型の地震に際し市ヶ谷の庁舎が使用不能となったときの、いわゆる危機管理策について検討チームの長を務めていただき、たいへん重要な仕事をしていただきましたが、大臣が交代になるという場合、私も初代の防衛大臣補佐官だったので、内閣の承認人事でもありますので、必要な手続きを取らせていただいたということでございます。

2 質疑応答

Q:明日、首班指名で自民党の安倍総裁が選出されて、民主党政権が終わる見通しですけれども、初の民間防衛大臣として、半年にわたって務められてきたご感想ですとか、あるいはご自身で振り返ってみて一番の成果というのはどこにあったのか教えてください。

A:初めての民間人からの防衛大臣ということで、確かにおっしゃるとおりではありますけれども、防衛庁と外務省に30年勤務をしたその僅かな知識だとか実績が少しは活用できるのではないかと思って、この短い期間、6ヶ月と3週間勤務しましたが、期間が短かったにしては、非常に案件が多く、充実した内容だったと考えています。防衛力整備については、「動的防衛力」という考え方は、私は今の日本の防衛力の方向として正しい方向だと思いますし、現在の東アジアにおける安全保障環境の中で動的防衛力という考え方は引き続き、踏襲されるべきだと思いますが、周りの状態を見ると、領域の警備というのに、今後もう少し意を尽くさねばならない分野が出てくるのではないかというふうに考えています。勤務を通じて、私が特に重視してきた沖縄の普天間基地問題を、ある一定の方向に方向付けるという目標は、当初の3ヶ月の間、オスプレイを配備することに、その努力をほとんど傾注したため、普天間問題そのものが少し実務的に遅れ、私が考えていたようには必ずしもなりませんでした。これは非常に残念で、心残りのことではありましたが、これはやむを得なかったのかなと思っています。もう一つ日米同盟を深化させるために進めてきたガイドラインについては、日米の閣僚レベルから事務レベルに至るいろいろな実務的な関係の中で、ガイドラインの見直しという作業は、今後順調に進んで一定の成果が得られる時期が来るのではないかと考えております。全体として、勤務の期間、大変たくさん、これは防衛省・自衛隊並びに皆様に教えていただいた面が非常にあって、かつ議席を持っていなかったので、政権の中で特に総理官邸に大変たくさん協力をしていただいて、辛うじて職務を進めることができたのではないかと考えています。職務全体を統括するに当たって、私が持っている全体的な所感は、明後日、離任するにあたり、防衛省及び自衛隊の全職員に率直に私の感想を取りまとめお話ししてみたいと考えています。

Q:先ほど大臣がお話しされた普天間問題なのですが、実務的にオスプレイの配備に集中されて、「実務的に遅れが出て、私が考えているようにはならなかった」というお話がありましたが、実務的にどの部分が遅れて、「私が考えていたようにならなかった」というのは、埋立て申請まで行かなかったということを意味するのでしょうか。その辺のお答えをお願いします。

A:沖縄の普天間問題というのは、いろいろな側面があって、確かに辺野古の施設を作るための補正の後の埋立て工事申請という問題だけではなく、それを取り巻くいろいろな問題があって、嘉手納以南の土地の返還に係る統合計画の策定という日米間で抱えている問題、それからグアムの問題、これはいろいろな側面があって、グアムの建設に係る日本の経費の分担並びにグアムへの海兵隊の部隊の移転という問題もありますし、それ以外に細かいことを申し上げれば、負担を軽減するための各種の訓練移転という問題もありますし、普天間飛行場の補修という問題もあります。それ以外に直接、必ずしも関係はないと言いつつ、実は沖縄の方々が大変、重視しておられるいわゆる日米地位協定の問題や那覇空港第2滑走路の建設、その他諸々の問題があって、一つの問題だけでは語り尽くせないいろいろな周辺の問題がこの普天間基地問題の周りにあって、普天間基地問題の手続きを進めればそれで済むという問題では全くないわけであって、それをトータルにどのように進めていくかということが、なかなかオスプレイの時間、努力によって、沖縄といろいろな協議を進めたり、いろいろな話をすると、あるいは日米関係でもオスプレイの問題、担当者が少ないものですから、それに非常に時間と労力がかかって、その他の問題を進めることが十分にできなかったという趣旨で申し上げたわけです。

Q:今、大臣からも少し触れられたのですが、嘉手納以南の統合計画については、年内に策定を目指すということで合意されていたと思うのですが、これに関しては、年内にまとめることが事実上難しくなった一番の要因というのはどの部分にあるのでしょうか。

A:行政的にはと言いますか、アメリカが大統領選挙後、オバマ政権の再選ということが決まったものの、アメリカの方にもいろいろな人事上の手続きや方針の作業というものがあって、我々が考えているようにアメリカがなかなか交渉の場で動いてくれなかったという側面が一つはあるということだと思います。それから、もう一つはやはり先ほど申し上げたように、嘉手納以南の統合計画というのは、それだけで単独で日米間で話し合えるというものではなく、いろいろなものがリンクしているわけで、日本にとっても先ほど申し上げたように、普天間の補修経費だとか、グアムの経費だとか、グアムへの移転計画だとかいうものが、統合計画と絡んでいて、統合計画の中身をご覧になるとお分かりだと思いますけれども、どこかの施設を日本側に返還してもらう。返還してもらうためにはどこかに移さないといけない。移すところの場所というのが、また玉突きのようになっていて、一つずつ解決するといっても、全体としてのパッケージをどうやって進めるかということを考えなければいけないので、訓練移転だとか、あるいは日米間の施設の共同使用といった問題に関わってきて、申し上げたように全体としてのパッケージが考えていたほどそう簡単ではなくて、少し時間がかかるので、今週中にはできそうにない、もう少しだけ時間がかかるということになりそうです。それはアメリカだけに責任があるというわけではなく、日本側も新しい政権にきちんと実態を説明して、いろいろな指示を仰がねばならない問題も残っているので、日米双方の政権の交代と、今、申し上げたように普天間を取り巻く各種の問題が、全体としてトータルに進めることが難しい状況が発生した結果として、統合計画の進捗が当初の合意より少し遅れているということは認めざるを得ないと思います。

Q:連休にも中国機が尖閣周辺の領空に近づいてくる事案が発生しましたけれども、どのように受け止めていらっしゃるでしょうか。

A:ご承知のとおり、12月13日、初めて尖閣諸島への中国の国家海洋局所属の航空機の領空侵犯事案が発生し、先週末も、22日及び24日に領空侵犯ではありませんけれども、我が国領空に約100キロほど接近をしてきたという事案があったところです。これに対しては、一番最初の事案発生以降、我が方は皆さんにお話したと思いますが、AWACSやE-2C等、所要の航空機、艦艇を使って警戒監視活動に従事してきて、相当、警戒監視機能を強化して、この問題に対処してきたわけです。22日と24日は我が方から少なくても、日本のADIZというか防空識別圏に入ってきた航空機でありましたので、対領空侵犯措置を取って戦闘機が接近をして必要な写真等が撮影できたので、皆さんに公表してきたとおりです。一回目の事案は写真が撮れませんでしたけれども、先週2件の事案は領空侵犯ということではありませんけれども、接近した航空機に我が方は接近をして撮ってきたということです。この種の事案は今後とも続くものと予想されます。中国が尖閣諸島の領有権を主張している限り、自らの領有権を主張しているその主張を誇示するためにも航空機の侵入を続けることによって、実績を積み重ねていくという行動を取る可能性が高く、我が国としては引き続き警戒監視活動を常続不断に努めて我が国の領土・領空・領海に対する警戒監視をきちっと対応していくという考えでいます。少なくとも我が国の領海・領空、勿論領土もでありますが、我が国の領域、トータルで言うと領域に対する警戒監視体制に万全を期すということとしております。

Q:先週、三菱電機などによる過大請求の額が発表されましたが、今日、三菱電機の1月の指名停止以降、11月末までの契約件数と契約金額が出たのですが、過去の契約金額などに比べれば、ほとんどあまり再発防止としての効果が指名停止処分にあるのかなと疑問が感じてしまうくらいの高額だと思うのですが、これについていかがお考えでしょうか。

A:この種の事案が起こるということは大変遺憾で、事案が明らかになって以来、防衛省としては時間をかけて各社に対して特別調査を行ってきたところです。確かに額が非常に大きく、問題が非常に深刻なので、今回の過大請求が行われた動機や背景を含め、丁寧にご説明するために先週資料もお配りをして、過大請求額の現在分かっているところについて皆様に説明をしたところです。公表もしたところです。ただ、今のご質問のように、この種の事案の再発防止については、防衛省としては更に徹底的にこの再発防止策を取るための措置というか手続きというのを今進めているところで、最終的に全ての検討結果の結論が出ているということではないと私は思います。いずれにしても、このような事案が起こるということは、かなり根本的な動機や背景要因を徹底的に調べるという必要があって、したがって防衛省・自衛隊としては再発防止策を検討するための万全の体制をとって、結論を得て、結論についてはその中身を皆さんに説明をする時期が来ると思います。もう少し時間をいただきたいと思います。何せこの相手方の会社、それからこの種の過大請求の個々の作業の中身が極めて複雑になっていますので、違約金や防衛調達に係る政府全体に対して、再発を防止するための策について検討しているところなので、結論が分かれば皆様に説明する時期が来ると思います。

Q:沖縄問題にとてもお詳しい大臣で、今回、半年の間に沖縄の負担軽減に努力されていたと思いますが、1点だけ確認というか。普天間の辺野古移設は地政学的に沖縄に必要だから辺野古なのか、それとも本土や国外に受入れるところがないから辺野古なのか、その1点だけ、考えをお願いします。

A:アジア太平洋という地域の安定のために、海兵隊というのは今、いわゆるMAGTFという、MAGTFというのはそもそも海兵隊が持っている機能のうち、地上の部隊、航空部隊、これを支援する支援部隊、その3つの機能をトータルで持っている海兵隊の空地の部隊、これをMAGTFと言っているのですが、それを沖縄だけはなく、グアムあるいは将来は豪州に2,500名以上の海兵隊の兵員になったときにはそうなると思いますし、それからハワイにはまだその態勢がとられていないので、将来の事としてハワイにもMAGTFに近い機能ができると思うのです。こういうMAGTFの機能を、割合広い地域に持とうとしているのは、アジア太平洋のいわゆる不安定要因がどこで起きても、海兵隊が柔軟にその持っている機能を投入して、対応できる態勢をある点に置くのではなくて、面全体の抑止の機能として持とうしているということであり、沖縄という地域にMAGTFを持とうとしているのは、そういうアジア太平洋全体における海兵隊の、いわゆる「リバランシング」という、かつては1997年頃、我々は「米軍再編計画」と言って、「リアライメント」という考え方ではなくて「リバランシング」というふうに言っているのですが、そのリバランシングの態勢として沖縄にもMAGTFを置こうとしているということです。これは沖縄という地域でなければならないのかというと、地政学的に言うと、私は沖縄でなければならないという軍事的な目的は必ずしも当てはまらないという、例えば、日本の西半分のどこかに、その3つの機能を持っているMAGTFが完全に機能するような状態であれば、沖縄でなくても良いということだと。これは軍事的に言えばそうなると。では、政治的にそうなるのかというと、そうならないということは、かねて国会でも説明していたとおりです。そのようなMAGTFの機能をすっぽりと日本で共用できるような、政治的な許容力、許容できる地域というのがどこかにあれば、いくつもあれば問題はないのですが、それがないがゆえに、陸上部隊と航空部隊と、それから支援部隊をばらばらに配置するということになると、これはMAGTFとしての機能を果たさない。したがって3つの機能を一つの地域に、しかも、その持っている機能というのは、任務を果たすだけではなくて、必要な訓練を行う、同時にその機能を全て兼ね備えた状況として、政治的に許容できるところが沖縄にしかないので、だから、簡単に言ってしまうと、「軍事的には沖縄でなくても良いが、政治的に考えると、沖縄がつまり最適の地域である」と、そういう結論になると思います。というのが私の考え方です。

以上

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