猪木正道氏が死去 政治学者、安保問題の論客
安全保障問題の論客として知られた政治学者で元防衛大校長の猪木正道(いのき・まさみち)氏が5日、老衰のため死去した。98歳だった。告別式は近親者のみで行った。偲ぶ会を行うが日取りなどは未定。喪主は長男で経済学者の武徳氏。
1937年東京帝国大経済学部卒。在学中は自由主義経済学者の河合栄治郎教授に師事し、人格主義的理想主義の影響を受けた。49年から京都大教授を務め、自由主義と社会民主主義に立脚した現実重視の政治理論を展開、マルクス主義の理論的欠陥を訴えた。
70年には当時の中曽根康弘防衛長官らの要請で3代目の防衛大校長に就任。京都大名誉教授、平和・安全保障研究所会長なども務め、安全保障政策への提言を続けた。2001年文化功労者。著書に「ロシア革命史」など。