路上危険データを共有、資本関係無いボルボ2社
【フランクフルト=深尾幸生】スウェーデンの高級車メーカー、ボルボ・カーと商用車大手のボルボは7日、両社の車両間で路上の危険情報などをリアルタイムで知らせ合う取り組みを年内に始めると発表した。両社はブランドを共有するが直接の資本関係はない。メーカーの垣根を越えてデータを共有するのは珍しい。情報を共有する車両数を増やして精度を高め、事故を減らすことを目指す。
スウェーデンとノルウェーで販売された一部のボルボのトラックと、「ハザード灯警告システム」と呼ぶ機能を搭載するボルボ・カーの車種が対象となる。
車両がパンクしたり、路上に倒木があったりした際に運転手がハザード灯のボタンを押すと、自動的にクラウドを経由して近くにいる車両に情報を送る。情報を受け取った車両は死角の悪いカーブの先など、「あの場所で何かが起きているな」と事前に知ることができる。
データは個人情報が特定できないように加工して集める。5月に欧州連合(EU)で導入される一般データ保護規則(GDPR)を満たす。
走行する複数の車両間で情報を共有して安全性を高める取り組みは、多くの自動車大手メーカーなどが進めている。データを多く集め実効性を高めるためにはメーカーの垣根を越えた共有が不可欠だ。ボルボ・カーは今回の商用車のボルボとの提携を「クリティカル・マス(分岐点)に達するための第一歩」と表現する。
ボルボ・カーはボルボの乗用車部門が分離し、現在は中国の浙江吉利控股集団の傘下にある。吉利は17年末にボルボにも出資し、筆頭株主になった。こうした間接的な関係も両社の協力を後押しした可能性がある。